第49話 小隊戦と神07

 僕とひまわりはロビーに移動した。

 四人はすでに席についていた。

 僕は遅れたのを謝ってシルバのとなりに座った。ひまわりは僕の隣に座った。

「なんで、ひまわりさんと一緒なのですか?」

 ポムポムに怒るような責めるような目で見られた。

 相談があったからである。相手は小隊から中隊になろうとしている。それもスピリットユーザーが多数在籍している。

「何で、知っているんだ?」

 シルバは不満そうだ。

 僕は敵に勧誘されたからだ。その時、相手の小隊長もスピリットユーザーときいた。

「最初の敵ですね。でも、他にも理解者がいるのは心強いですね」

 キルスティのいう通り心強い。しかし、目立つので危険である。

「ここでも、目立っていますよ」

 キルスティには理解できないようだ。

 少数なら見すごされるが、多数となると問題になる。その他大勢でなく、一つの派閥になる。その時、相手が理解不能な力を使う。話し合いの前に排除するだろう。人はそれほど理解できないものを許容する生き物ではない。霊感を持っているだけで、白い目で見られる。それが集団となると怖いだろう。

「そういえば、怖がる人はいますね。幽霊なんていないって」

 キルスティは覚えがあるようだ。

「スピリットユーザーだけで小隊になったら面白いかな?」

 マイリは本質的な疑問をいった。

 スピリットユーザーが一人いるだけで目立つ。小隊となると目立ちすぎる。おそらく潰されるだろう。

「根拠は?」

 シルバはいった。

 この小隊に入った時にわかるだろう。永遠の仮入隊だ。理解できないものを受け入れられるほど、人は強くない。

「そういう意味か。理解した」

 それよりも本当の敵は普通の人ではない。同じスピリットユーザーだ。スピリットユーザーならゲームでも呪いを使えるからだ。

「あの嫌な気配ですね」

 ポムポムは思い出したのか顔をしかめた。

 必要なら形代かたしろ――身代わりを渡す。お守りとして持てばいいだろう。

「私も欲しい。どんなの?」

 ひまわりは珍しいから欲しいようだ。だが、ロビーで出すものではない。

「それなら、お花畑に行きましょう」

 ひまわりは見えないコンソールを叩いた。

 次の瞬間には地平線で囲まれた花畑にいた。今回は気を利かしたのか座ったままである。

 僕はひまわりにいいのかきいた。

「構わないわよ。みんなスピリットユーザーだからね。お互い様と思って」

 僕はあきらめて形代を出した。特殊な文字を書いた人の形をした紙である。いつかは渡さないとならないと思って、大量に作ってあった。

 僕はみんなに三枚ずつ渡した。

「これの使い方は?」

 ひまわりが代表としてきいてきた。

 手にはさんで気を集めて入れるだけだ。ひまわりは普通の人なので、意識してオーラを両手から形代に入れる想像をしないとならない。

 スピリットユーザーである四人は手にはさんで簡単にできた。

「これで、残機は三機になった」

 マイリは喜んでいた。

 一機でも落ちたら逃げるように伝える。形代は万能ではないからだ。

「うん。わかったー」

 マイリはアバターの服の中にしまった。

 使い方は形代を見て理解できているようだ。

「ねぇ。できている?」

 ひまわりは情けない顔でいった。

 できていないので、手をこすり合わせる一番基礎から教えることになった。


 小隊でのミッションでは思ったより、貢献度とゲームマネーが入った。

 みんなは何を買うのか考えているようだ。

 僕は基礎フレームの向上と新しい火器管制チップに留めた。星が四つないと上のランクの武器が買えないからだ。

「もう、四つ星の時を考えているのか?」

 シルバに格納庫できかれた。

 初級者と中級者では大きく違う。そのための貯金である。四つになったら大きく買い替えるだろう。

「なるほどね。でも、今の装備に満足しているか?」

 していない。だが、武器の攻撃力は変わらない。そのため、新調する武器はない。

「機体制御チップや情報管制チップは?」

 機体管制チップは皆と合わせた方がいいだろう。情報管制チップはいらない。スピリットユーザーであるため、レーダーよりも先に発見できる。それに細かい情報は必要としていない。

「それもそうか。基礎フレームの向上は当たり前だけど、武器を増やしたいんだ。だけど、これというものがないんだ。何か思いつくか?」

 ジルバは中間から遠距離である。ガトリングガンがあればことが足りる。弾倉の増設かミサイルポッドぐらいだろう。キャノンも面白いと思う。シールドごとぶっ飛ばせる。

「やはり、そうなるか……。ミサイルとキャノンか……。悩むな」

 シルバは考え込んだ。

「もう、買ったんですか?」

 ポムポムが格納庫に現れて飛んできた。

 格納庫は無重力なので宙を泳げる。

 僕はポムポムを受け止めて勢いを消した。

「私もー」

 マイリが楽しそうに飛んできた。

 僕はマイリも受け止める。そして、機体に足をかけて勢いを消した。

 僕は二人をハッチの上に誘導した。

 キルスティは遠慮したようだ。普通に自力で機体にとりついた。

 僕は二人にマネーの使い道をきいた。

「私はマシンガンを二丁と機体制御チップ。残れば火器管制チップ」

 マイリは決まっているようだ。

「私は火器管制チップと回復キッド。あとは基礎フレームを上げたい」

 ポムポムは完全に支援型になったようだ。

 僕はキルスティにきいた。

「私は機体制御チップと火器管制チップですね。あとはキャノンを考えています」

 キルスティは遠距離型に決めたようだ。

 ひまわりさんに相談するのはシルバぐらいになるようだ。

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