モブ転生者、パーティーから追放されてきままに異世界ライフを楽しむつもりがなぜか勇者を討伐する事になった件

@karubi778

第1話 モブ転生者、異世界へ行く。

 「うわっ!?」


 ついさっきまで部屋でラノベを読んでいたのに床にデカい魔法陣のようなものが現れて眩い光が俺を包んだ途端気づいたら全く知らない神殿のような場所に立っていた。


 「おお……!召喚に成功したようですな!」

 「これであの伝説の勇者一行が揃いましたな!」


 俺周りを囲んでいた知らない爺さん達が興奮して唾を飛ばしながら口々に話している。

 どういう事だ?これってまさかラノベにありがちな異世界転生ってやつなのか?


 「よくぞ来てくれました。この世界を救うものよ」


 集団の中で唯一いた女性が俺の前へと一歩進んだ。


 まるで中世の王妃のように黄金の衣装を纏っている。声からして年齢はかなり年上だろうが見た目は30代にしか見えないほどの美貌な顔をしている。しかも服の上から分かるほど大きな二つの胸が出っ張って主張していた。


 「あのー……すみません、ここってどこですか?これっていわゆる異世界に召喚されたってやつですよね?」


 「ここはエスガルド、国王と妃である私が治める国です。そしてあなたは予言に書いてある通り魔王を倒すべく選ばれた勇者の一人なのです」


 「は?」


 おいおい、やっぱりこれって異世界転生じゃん!という事は俺に何かとんでもないスキルとかあったりするパターンじゃないか?


 「あなたにはどの適正があるか今から判別します。今まで召喚した勇者達の適正職種から見て、あなたには賢者の特性があると思われますが」


 そう言うと王妃は一枚の紙を爺さんから貰うと目を閉じ紙に手を翳して何か呪文のようなものを唱え始めた。


 「……出ました。あなたの能力は……え?」


 どうやら紙に俺の魔力とか出力したらしいが、その紙を見て目が点になっている。周りの爺さん達も王妃の紙を覗き込んで驚愕に目をひん剥いていた。


 「これは……一体どういう事なのでしょうか?」


 王妃は信じられないという目で俺と紙を交互に見ている。


 「何かの間違いでは?もう一度試してみては」

 「いや、判別魔法はしっかりと効いていたはずだ!なのにこの数値は……」


 王妃は眩暈がしたかのように額に手を当て少し何かを考えた後、俺に告げた。


 「勇者よ……、いや勇者であったものよ。これではただの人間ではないですか!」


 怒りで顔を真っ赤にした王妃が目の前に突き出した紙には俺の能力値が書いてある。


 『魔力:0 体力:50 特殊能力:ニブイチスキル』


「え、えぇぇぇぇ!?」


 目の前が真っ暗になった。

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