第38話 プロの書き手として~気づきを求めて
自分で言うのも難だが、自分自身は「プロ」であると自負している。
以下、プロはわざわざカッコはつけない。物理的な記号、この文章内における記号はつけないということもあるが、いちいち自分で強調するようなことでもないと思うからである。
まず、一言。
プロと言えども、完ぺきではない。アマチュアや趣味人なら完璧にできるのかと言われれば、そんなこともないだろうが、プロたるものが何だと言われることを覚悟で、述べている。プロとは何かという定義の問題もあるが、それは存外、その人にとって何なのかという話になってキリがないので、ここではあえてそれもしない。その反動としてのアマチュア=アマとは何かとか、まして趣味人とはなどと言い出せば、キリがないからね。
そりゃあ、プロと言えどもミスはするし、ミスとは言えなくてもクセはいくらとある。見る者が見れば、それは明白だ。さぞかし、かつての名選手である野村克也氏のような方にかかれば、なおのことだ。
彼は配球を読んで打つタイプの打者だったが、そんなのは二流半のすることだと言い放てるのは長嶋茂雄氏のような超一流のほんの一部。その「二流半」のレベルをしっかり「抑えて」いるからこそ言えることなのだ。
それはともあれ、ミスや癖があるからと言ってプロ失格というのはあまりに短絡な見立てと言えよう。ま、バイクを盗んでチョッケツにして走り出すバカガキ君あたりの次元の話だね。
プロは、何より質より量の側面がある。一定以上の量をこなしていないとプロにはなれない。野球に限った話ではない(他のスポーツも同じ)。それと一緒で、物書きというのは、何だかんだで量を書いていないと早くかつできるだけ正確な文章を書くことなど覚束ない。それでもミスは出るしそこまで行かないまでもクセはあるし問題点もその文章には出ている。問題点のない文章なんてないと思って間違いないと認識してちょうどいいくらいだ。短文やそこらならまだしも、長文ともなればなおのこと。大体、長文を書くこと自体が、先ほど述べたように量をこなしての結果を出すことに繋がっているのだ。ここの文や単語のチョイスに問題がないものなんてあるわけもないし、そこはもっとこんな単語に変えたら、なんてものまで言い出したらもうキリなんかないだろう。
誤植もまた、それに同じ。もっとも、誤植というのはそれがヒントで新たな何かが見えてくるヒントにもなることが多いから、これとて侮れないのだが、それはまた別の話。
アマや趣味人についてはここでは語らないが、プロなら、完璧な文章を書こうなどと思っていてはまず務まらない。書いてなんぼ。
問題は、そこからだ。
自ら身に着けようともがいての結果でしか身に着くものはないと思っていてちょうどいいくらいだ。気づきも一緒。無論、人が指摘してくれてという場合もある。それは、大いに受容れていい。むしろ、積極的に受容すべきである。そのことによってただその文章を修正するだけで終わるならそれはもはやプロではない。そこで何を気付くかが問題である。
気づいたことをまずはじっくり受け止め、自らの問題点を探る。
修正と言っても、やみくもにすればいいってものでもない。
例えば修正点が30個あると気づいたとする。
それはそれでよく分析できたとほめていいところだが、ではそれをすべて修正するとなったら、それは無謀というもの。できもしない完ぺきを求めるような真似などすれば、たちまちのうちに何もできなくなるのがオチだ。
無論、その場で直していいものはそれで直せばいい。
問題は、根深いクセや問題点。先程の30個の中にそれでも10個はあるとしよう。その10個をすべて直そうなんて、できもしないことを考えるのは無能を通り越した神の出来損ないとしか言いようのない所業だ。
~ 無能と神の出来損ないのどちらがマシかと問われれば、まだ人間であるだけ前者の方が救いはあるだろう。
とにかく、緊急に直さないと致命的になるようなものをまずは直す。そこまでのものがないなら、直せそうな何か一点かそこらに着目し、そこから直していく。そうしているうちに少しずつ、全体が改善されていく。
その優先順位を即座に見つけ、行動に移せるかどうか。
そこが、プロとして生きていく上で一番大事なことではないかな。
この一連の話を一言で言うなら、もうこの言葉一択であろう。
「気付きの大切さ」
ま、そんな話はいいから、一杯飲んで寝ましょう。
話は、起きてからでもいいんじゃね。
~ もうすぐ、お化けの時間だし。
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