第5話 酔っ払いでもたこさんウインナー食べるンか?

 ウインナー自体、成人後あまり食べたためしがない。弁当を自炊なんかしないからねぇ。別に作ってくれる人がいるわけでもないからね。第一、私の日常は常在戦場。準戦時体制というよりはもう、生きて生活していること自体が「純」戦時体制みたいなものだからな。

 私のことはともあれ、ウインナーソーセージといえば、そりゃああんた、あのたこさんウインナーが何だかんだで人気ではありませんか。キミとアイドルプリキュアでは、たこさんウインナーは定番ですぞ。それ見ても別に私自身食べたいとは思わない。ドイツソーセージでドイツビールなら、そりゃあこれまで何度となくあったけどな。第一、たこさんウインナーでは腹が膨れんと来ております。

 別に、そんな、いまさらお子様ランチでもあるまいし、ってところかな。


 そんな私ですが、今日、2025年6月14日の昼、ついに、数十年ぶりにたこさんウインナーなるシロモノを食べてしまいました。岡山駅前のとある居酒屋にあるのり弁風の丼物に、コロッケと魚フライ、それに卵焼きとともに、たこさんウインナーなるシロモノが、何と2個もついておりました。

 なんかね、見ていて、欲しくなってしまったのよ。なんせその丼、ワンコインで汁物もついてきます。50円余分に払って大盛りだぜ。これで、腹膨れます。銀シャリでビール、いいですね。魚フライやコロッケで飲むと、何だか英国のパブみたいでこれもまた乙。おまけにたこさんウインナー。ちょっとしたつまみに最高。

 まあ、ウインナー自体は最近でも年に何度か程度は食べるかもしれんけど、たこさんはまず、ない。ソーセージ代わりのつまみ程度の感覚です。


「猿でもたばこを吸うんか」みたいなことを云ってベテラン選手を怒らせて、シーズンの終わりにぶん殴られた監督さんがおられたけど、その言葉風に言えば、それこそ「酔っ払いでもたこさんウインナーを食べるんか」ってところ。

 たこさんウインナーなんて、小学生くらいの子か、まあ女子中高生くらいまでかなというイメージが、私にはあるみたい。成人して後にわざわざそんなもの食べるかな、ってね。お弁当のつけたしおかずみたいな感じよ。例えば私くらいの年齢の教頭や校長といった役職の先生が弁当を持ってきていて、その弁当が娘さんあたりの作ったものでその中になんとたこさんウインナーが入ってなんかいたら、確かに確かに、ちょっと違和感を感じる人がいてもおかしくは、ないわな。むしろ、微笑ましいか。しかしそのつけたしのはずの世界タコ類がウインナーに身をやつして、昼間から酒を飲む酔っ払いの巣窟にやって来たってお話なのね。

 ビールのつまみでウインナーは普通にあるだろうし、それがたまたまたこさんスタイルであったとしても、不思議でないといえばない。そりゃあ、サルでもたばこなんて言うたら、たまたま居合わせたさっきの監督さんの同世代の対戦チームの監督さんで、口の悪さでは定評のあったその方さえもビックリされたようだけどさ。だけど、酔っ払いでもたこさんウインナー食べるんか言われても、言われる方の素養が素養だけにね、そんなビックリされることもないでしょうよ。そうだ、そのくらい言ってやれって気になる人がいても、おかしくはなかろう。

 なんか、ほっこりしたね。懐かしい光景。今や、日曜の朝のアニメでしか見ないたこさんウインナーに、昼飲みの酒場で出会うとは。マグロの刺身とともにその謎ののり弁丼を食して、そこで出会ったたこさんウインナーを2個iいただいた。


 そういえば、今日は姪の誕生日だった。今年で24歳。大学を出て程ない年齢になっているけど、いろいろ事情があって、とある施設で過ごしている。同じころの自分は、どうだったか。大学を出て、何とか生きていくのに必死になっていた。

 ちょうど、土曜日の夜にセーラームーンが放映されていた頃だった。その時間なんてまず見ることできないから、ビデオを借りて観ていたな。酒は、もういっちょ前に飲みつけていたからね。仕事終わって、夜遅くなっても飲んでいたよ。いろいろ食べたけど、たこさんウインナーなんて食べることなんかなかったからね。


 たこさんウインナーのおかげで、今日はもう、満足。

 あとは少しウイスキーをすすって、ニチアサにそなえよう。

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