クラミナル・ファイト

爽田

第1話

某年某日、人類は世界に飽きた。


暇を持て余し、刺激のない日々を過ごすだけ。


世界政府は、この状況を変えるべく、


ひとつのイベントを計画した。


『犯罪者を闘わせる』という、魔の企画。


だが、そのイベントに心惹かれる者は多数であった。


そのイベントは実行されることになり、


厳しくルールも制定された。


ルールは、以下の通りである。


ーーークラミナル・ファイトーーー


第一条


殺し合いを禁ずる。


第二条


自身の犯した犯罪を『能力化』し、能力を使って闘うこと。


(肉弾戦も可)


第三条


能力は人によって変わる。


同じ犯罪でも効果が違う可能性がある。


第五条


犯罪者には専属のサポーターをつける。


第四条


トーナメント式で行い、


決勝戦で勝った者は『減刑』する。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「これを…、俺たちでやれってことになんのか?」


「そうなりますわ!」


「で、アンタ誰?」


「ジャッジメントと申しますわ。審判の位置にあたります」


ストロベリーの髪色に、ふわりとしたツインテール。


高貴さの溢れる見た目だ。


「さて、話は聞いていると思いますわ!」


「皆様には『叩き合い』をして頂きます!」


「……は?」


「さあ、皆様お部屋にお戻りくださいまし!話は終わりですよ」


そそくさと戻る。


部屋じゃなくて牢屋だが。


俺は桜白飛おうしろとび


トビというニックネームで親しまれている。


俺はとある犯罪を犯し、刑務所に入っている。


「って、誰だお前」


「今日から専属サポーターになった幕内まくうちです」


「サポーター…。ああ、書いてあったやつ?」


俺は黒髪赤目だが、


中にいたヤツは黒髪青目だった。


「……こういうのって女性がサポーターじゃねえの」


「男と女というのも面倒でしょう。何かあってはいけませんし」


「別にタメでいいよ、かったるいし」


「そうか。分かった」


俺も別に身長が高いという訳でもないが、


幕内は確実に背が高い。


頭ひとつ分高い。


「お前何センチ?高くね?」


「俺?多分180くらい」


「たっか!二次元の人?!」


「飛は何センチなんだ」


「俺の名前を呼んでいいと言った記憶はねえぞ」


「いいだろ別に。で、何センチなんだ」


「……168」


なんていう屈辱!


クッソ恥ずい!


「…一応知ってると思うけど、桜白飛。飛でも桜白でも」


「分かった。俺は幕内絢斗まくうちあやと。これからよろしく頼む」


「分かった。絢斗な…、アヤトでもいい?」


「漢字苦手なのか?」


「これでも18歳なんだけどな。漢字はキライ」


「じゃあ俺もトビで呼ぼう」


「飛くらい読めるわ。自分の名前なんだし」


そりゃそうか、と笑うアヤト。


そりゃそうだろ、お前は自分の名前の漢字が読めないのか?


「…そうだ。後で行くところがある」


「どしたんだよ、どこに行くんだ?」


「俺が行くというよりはお前が行くんだけどな」


少し間を開け、アヤトは口を開けた。



「行こう。飛の犯した犯罪を能力化しに」


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クラミナル・ファイト 爽田 @nekokurage0

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