しっぽのお医者さん

そっと外科医

プロローグ|世界一やさしいいぬ

ぼくはもうすぐ一才になる、ボーダーコリーの男の子。

でも、ちょっとだけ「せんせい」でもあります。


なんの先生かって?

それはね、心と命のこと。

…なんて言うと、ちょっと大げさに聞こえるかな。


ぼくは、生まれて3ヶ月がたったある日、

「人間のお医者さん」と出会って、

いっしょに暮らすことになりました。


最初は、お母さんたちと離れて、とっても心細かった。

覚えなくちゃいけないことも、たくさんあったなあ。


一番不思議だったのは、にんげんは「あそぼう」って気持ちで噛んでも喜ばないこと。


うれしい、さみしい、こわい、眠たい。

気持ちが全部しっぽからはみ出して、噛んではよく怒られたっけ。


でもあるとき、気づいたんだ。

このひと(お医者さん)、ときどきものすごく疲れてる。

でも、いつも優しい目をして、ぼくを見つめる。


何回もそんな目を見るうちに、わかったんだ。

人間も、たくさんがんばってるんだってこと。

泣いたり、笑ったり、迷ったり。

犬のぼくから見ると、ほんとうに忙しい生き物。


だけど新しい家族たちは、ぼくがそばに居ると

みんな、とても幸せそうな「におい」がしはじめるんだ。


だから、ぼくは決めた。

この世界でいちばん優しい「しっぽの先生」になるって。


きみの疲れた心に、そっと寄りそうような言葉を、

ぼくなりに書いていこうと思います。


よかったら、たまに遊びにきてね。

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