ダンジョンは俺を覚醒させてしまった~一般的善良大学生だったはずの俺ですが、なぜか人の道を踏み外しそうです!誰か助けて~

無銘正宗

第1話冒険者八雲 雄介

「合格だ、八雲雄介」


俺こと、八雲雄介は三ヶ月をかけて冒険者試験に合格をした。


2025年6月、世界各地に突如ダンジョンが現れて、早五ヶ月が経った。ダンジョンが出来た国は日本とアメリカと中国と……あとどこだったかな。


自分の生活の関係がないことはつい忘れてしまう。


まずダンジョンが出来た各国は入り口付近を完全に封鎖し誰も入れないようにした。次に軍隊を投入し、謎の建造物『ダンジョン』を探索していった。


わかったことは、『ダンジョン』内の生物は地球で存在が確認されていない生物ばかり……モンスターで溢れているということ。


そして、レベルやSP、MP等ファンタジー小説の概念が『ダンジョン』の中では通じるということだった。


『ダンジョン』と名付けられたのも、ファンタジー小説の中でそのように呼ばれていた建造物と酷似しているからというのが一番の理由である。


その事実を各国が発表をすると当然のことながら、一般の見学希望者がダンジョンの入り口に殺到した。


当然、自衛隊がダンジョンの入り口をしっかりと守り見学希望者を通すことはなかったが自衛隊のみでの探索で死傷者が出てしまったこと、そして他国と連動する形で

日本政府はダンジョン内を探索する『冒険者』を募集することになった。



『冒険者』とは、ダンジョン内を探索またはモンスターと戦うことでダンジョンの仕組みを解明することを至上命題とする職業である。


政府の説明によると、『冒険者』になることで、ダンジョン内をある程度自由に歩き回れるらしくまたダンジョンで拾ったアイテム(モンスターを倒すと一定確率でドロップするそうだ)を買い取ってもらうことで生計を立てることもできるらしい。


『冒険者』は自衛隊が課す冒険者試験に合格することで誰でもなることが出来る。


大学三年生である俺は、そろそろ就活をしなければなあと思い立っていたところだった。


が、面倒くさい。極めて就活という活動は面倒くさいのである。エントリーシートを書いて、ガクチカを考えて、業界分析をし、インターンに参加して…というわけで俺はずっと先送りにしていたわけだが…


面白そうないい仕事が出来たじゃないか、と俺は早速冒険者試験を受け冒険者を目指し始めたのが三ヶ月前である。



一週間に一回ある冒険者試験に落ち続け、ついに三ヶ月もかかってしまった。


筆記と人格適正試験のほうはらくらくとクリアできたのだが、実技がきつくてきつくて。具体的に言うと10㎏のタイヤを持ったうえで5㎏を制限時間内に歩き切る訓練や、ひたすら木刀や刃物を避ける訓練、水中でものを探す訓練など様々な難題をクリアしなければ冒険者にはなれないのだった。



少し弛んでいた腹も、訓練によってすっきりとしたので今の俺は達成感に満ち溢れ素晴らしい気分だ。


ダンジョンを探索するという目的をもう忘れてしまいそうなくらい。


さて、こちらも新設された冒険者ギルドにて細やかな登録を済ませると使う武器を聞かれた。剣、または弓などが主流らしい。


けれど、俺はある武器に引き寄せられる。


「これは刀?ですか」


俺が指さした者は片方にしか刃がついておらず鞘がついており、刀身が少し反っている。


「ええ、つい3日目に量産が可能になったんですよ」


なんと。「では、これで」

俺は運命の導きを信じ刀を使うことにした。








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