荒い波が押し寄せては引いていく海にいる

時間は朝だった

陸側の堤防の下はテトラポット

ここにはぼくの秘密基地がある

大事なものを沢山飾っている場所

中は割と広いから大の字で寝ても余裕

奥へ進むととあるお店に繋がる

だだっ広い駐車場にぽつんとトレジャーショップ

ギラギラとネオンの看板が朝から晩まで付きっぱなし

今気付いたけどもう夜になっていた

入り口のすぐ横には大きな宝箱

たまに開いている

中に入るとUFOキャッチャーがある

ニンゲンが景品

あまり欲しくはない

ソウルクレーンゲームもある

ニンゲンの記憶や願いや未練などが景品

これもあまり欲しくはない

先に進もう

入り口から枝分かれするように右側⬅︎と左側➡︎のどちらからでも入れるようになっている

今日は右側⬅︎から入ってみよう

古着コーナーの奥にレコードコーナー

曲名がひとつも読めない

本が読みたい

白い本棚が天井高くまで続いている

絵本コーナーが多め

漫画も沢山ある

人生を何周したらこの本を読み切れるのだろうか

ママ……?

〖ここで目が覚める〗

入り口にいた

今度は左側➡︎から入ってみよう

駄菓子コーナーとくじ引きコーナーがある

駄菓子はどれでも1つ10円

くじ引きは1回寿命1年

何が当たるかはどこにも書かれていない

誰もやらないのだろう

店のニンゲンもおらず明かりも付いていない

駄菓子を買おう

水色のガラス瓶に入った透明な飴玉を1粒

純度が高く向こう側がよく見える

魚眼レンズみたい

世界がひっくり返っていた

〖ここで目が覚める〗

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忘れない。 存在しない空 @ixinn_o0

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