Ⅸ
荒い波が押し寄せては引いていく海にいる
時間は朝だった
陸側の堤防の下はテトラポット
ここにはぼくの秘密基地がある
大事なものを沢山飾っている場所
中は割と広いから大の字で寝ても余裕
奥へ進むととあるお店に繋がる
だだっ広い駐車場にぽつんとトレジャーショップ
ギラギラとネオンの看板が朝から晩まで付きっぱなし
今気付いたけどもう夜になっていた
入り口のすぐ横には大きな宝箱
たまに開いている
中に入るとUFOキャッチャーがある
ニンゲンが景品
あまり欲しくはない
ソウルクレーンゲームもある
ニンゲンの記憶や願いや未練などが景品
これもあまり欲しくはない
先に進もう
入り口から枝分かれするように右側⬅︎と左側➡︎のどちらからでも入れるようになっている
今日は右側⬅︎から入ってみよう
古着コーナーの奥にレコードコーナー
曲名がひとつも読めない
本が読みたい
白い本棚が天井高くまで続いている
絵本コーナーが多め
漫画も沢山ある
人生を何周したらこの本を読み切れるのだろうか
ママ……?
〖ここで目が覚める〗
入り口にいた
今度は左側➡︎から入ってみよう
駄菓子コーナーとくじ引きコーナーがある
駄菓子はどれでも1つ10円
くじ引きは1回寿命1年
何が当たるかはどこにも書かれていない
誰もやらないのだろう
店のニンゲンもおらず明かりも付いていない
駄菓子を買おう
水色のガラス瓶に入った透明な飴玉を1粒
純度が高く向こう側がよく見える
魚眼レンズみたい
世界がひっくり返っていた
〖ここで目が覚める〗
忘れない。 存在しない空 @ixinn_o0
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