忘れない。
存在しない空
Ⅰ
6年通った見慣れた小学校
体育館へと繋がる鉄製の重い扉
隅の肋木
ただひっそりと佇む少年(悪い人では無い)(害を感じない)
体育の授業はバスケかドッヂボールのみ
窓の外は枯山水のような箱庭の風景
体育館の裏口から出ると廃車工場
交通事故で亡くなった父の車がある
フロント部分はべっちょり潰れている
ロックは開けっ放しで鍵はどこにも無い
後部座席と助手席の背もたれを倒した間にぼくは靴を隠している
これは2足ある
父に買ってもらった少し良いやつ
これを眺めるのが好き
どっちも宝物
授業が始まるチャイムが鳴ると同時にこの靴をまた間に隠す
誰かに見つかるかもという心配が常にあって不安
体は比較的軽く動きやすい日が多い
学校の階段を飛んで降りたり誰も追いつけないくらい早く走ったりできる
そして保健室の先生に怒られたりする
先生はいつもケーキを食べている
でも注意したほうがいい
〖ここで目が覚める〗
反動が来たかのように動けなくなる時がある
地面に付けられた白線だけが先に進んでいくように視界が歪んでスタートラインを間違えたかのように後ろにいる時がある
こうなると今度はぼくが追いつけない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます