第46話 日の光の先
リアさんに案内された抜け道をただひたすら進んでいくと、やがて、俺たちは王都の外側へとつながる道にたどり着いた。
薄暗い場所から、日の光とグラスフィア平原の緑がさわやかに出迎えてくれた俺たちは後方からの追手が来ていないことを確認しながら、逃げる事が出来たことを安心していた。
サンゴやホロも安心した様子で息を整えていた。
しかし、ここに来るまでの道のりでも考えていたが、やはり、この状態をいつまでも放置しておくのは良くない、かといって雑魚の相手ばかりしていても余計な体力を消耗するだけだ。
数的不利である以上、敵の頭に直接接触するリスクを負う必要性があるかもしれない。
そう思っていると、ホロが話しかけてきた。
「ジュジュ様、背後から追手がきている様子です」
「わかるのか」
「はい、目を飛ばして情報を得ています。それにグラスフィア平原にも配置されている様子です」
「そうか、そこまでしてホロの事が気に食わないわけだ」
「全くです」
「なら、いっそのことこっちから行くとするか」
「賛成ですジュジュ様っ、私はどこまでもあなたについていく事を誓います」
「そうか、で、サンゴはどうする?」
「わ、私は・・・・・・」
「無理にとは言わない、今回は黒百合が仕掛けてきているからサンゴの事は見逃してくれるだろう」
「い、いえ、私も行きますっ」
「大丈夫か?」
「はい、私だってちゃんと力を使いこなしている所をジュジュさんに見てもらいたいですから」
サンゴは、どこか気合の入った面持ちでそういうと、ホロが口をはさんできた。
「あら、本当に大丈夫なの?またぼろ雑巾みたいになるわよ?」
「ならないっ、私はあなたよりも先にジュジュさんに力を頂いたんですからっ」
「うっ、なによ、先とか後とか関係ないでしょ」
「ジュジュさん、あなたが必要としてくれるなら、私はあなたの力になりたいです」
サンゴもホロも俺に力を貸してくれる様子であり、それはまさしく仲間というにふさわしい展開に俺はどこか懐かしくも暖かい感情で満たされた。
「そうか、ならまずは賢者のサッサ・ロンドとかいう奴の居場所を突き止めないと」
そう思っていると、唐突に近くで物音がした。
俺たちはすかさず臨戦態勢をとったのだが、目の前に現れたその人が、ダリア先生直属のローブの人である事に気づいた。
だが、サンゴとホロの二人は警戒した様子で俺の前に立ちはだかった。
「ここは私に任せてくださいジュジュさん」
「ちょっと邪魔しないでください、ジュジュ様は私が守るんですから」
こんな時までのんきに喧嘩する余裕の二人に対してローブの人はその隙をつくかのように素早く俺の元まで移動してきた。
注意深くしていなければあの動きには反応できないだろう、そう思えるほどの動きに、さすがは副学長の傍にいるだけの事はあると思っていると、サンゴとホロが仲良く動きをそろえて振り返った。
「「えっ」」
「この人は敵じゃない・・・・・・それと、隙を突かれたな二人とも」
俺の言葉に二人は少し反省し様子でうつむいた。そしてローブの人は俺達にローブを手渡してきた。
「またこれか」
「副学長先生より、あなたの力になる様に言われています。そして、先ほどまでのやり取りもすべて聞かせていただきました」
「話が早くて助かる」
「サッサ・ロンドは王都の北東に位置する場所にギルドを構えており、そこにいることが確認されています」
「なら北東に行けば会えるんだな」
「ルートは私が確保しておりますので、向かわれるのでしたらご案内しますが?」
「勿論今すぐにでも頼む」
俺はローブをサンゴやホロにも渡し、早速サッサ・ロンドがいるという北東のギルドへと向かった。
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