第18話 賢人会という名の取り調べ
ダリア先生とのお茶会をしばらく楽しんだ後、俺は先生に連れられて賢人会が行われている場所へと向かうことになった。
そこは、魔法大学の最上階に位置しており、たどり着く行くのに相当の移動時間がかかった。
しかも、その道中黒マントの人もついてきており、相変わらずダリア先生はその存在について言及しないし、俺もどこか聞き出していいものかわからなかった。
そんな事を考えながら魔法大学の最上階へとたどり着くと、一直線の廊下に七人のローブをまとった人たちが並んでいた。
個性豊かなデザインを施したローブをまとったその人たちはまるで素性を知られたくないかの様にうつむいていたが、視線が突き刺さってきているような錯覚を覚えた。
そんな異様な状況の中、ダリア先生は堂々と歩いて俺を先導してくれていたのだが、正直気が気じゃなかった。
何しろ、この七人から感じる威圧感は間違いなく
しかし、この場で何が起こるわけでもなく、俺はダリア先生の後についていくと、彼女は扉の前で立ち止まった。
「さぁ、ここですよジュジュ君、準備はいいですか?」
「あの、廊下に並んでる七人が賢者じゃないんですか?」
「彼らは賢者の付き人ですよ、さぁ、入りましょう」
「えぇ・・・・・・」
魔法大学の底知れぬ戦力を目の当たりにした俺は、これから待ち構えている賢者とやらが怖くなってきた。
そうして、妙に緊張しながら部屋へと入ると、そこで待っていたのは七人の人であり、彼らは等間隔に座っていた。
それはまるで七角形を模しているかのようだった。
すると、入り口から最も近くの席に座っている人物を見つけると、俺は途端に緊張が収まった。
そう、そこにはララの姿があり、彼女は口をぽかんと開けた様子で硬直していたのだが、すぐに我に返った様子を見せると、あからさまに不機嫌な様子で俺を睨みつけてきた。
そうか、あって数日とはいえ、顔なじみがいるってのはこんなにも安らぎを与えてくれるものらしい。
「賢者の皆さん、この魔法大学の新入生であり、ゴールドークラスのジュジュ・グレイブを連れてきました」
ダリア先生はわざわざ俺の事を紹介してくれると、近くにいた賢者の一人らしき人が声を上げた。
「おい、グレイブって、お前の所と関係あんのか?」
その人は、耳にたくさんのピアスを付けた金髪の人であり、世間一般でいうヤンキーという呼称にぴったり当てはまるような人であり、言葉遣いや声色もまさしくそうだった・・・・・・しかし、これが賢者?
そして、そんなヤンキー賢者の質問に対してララは沈黙を貫いており、その様子は実に緊張感のあるものだった。
すると、ララの態度が気に食わなかったのかヤンキー賢者は乱暴に立ち上がり、再びララに話しかけた。
「おい無視すんじゃねぇよ、ララ・グレイブッ」
「ダリア先生、彼がゴールドクラスというのは事実なんですか?」
ララは明らかにヤンキー賢者の事を無視しており、ヤンキー賢者は今にもララにつかみかかりそうなほど打ち震えていた。
だが、話は完全に俺へ向けられており、それが気に食わなかったのか、ヤンキー賢者は俺を睨みつけてきた。
「えぇ、私が直々に承認しましたよ」
「彼は昨日入学したばかりですよっ、そんな前例は聞いたことがありません」
「昨日、第八研究室での上級の魔物脱走した事件はご存じですか?」
「え、えぇ、知っています」
「彼は上級の魔物をいともたやすく制圧して見せました。なのでゴールドに値する実力だと判断しました」
「上級の魔物を制圧?」
ララは驚いた様子で俺を見てきたが、すぐにダリア先生へと視線を戻した。
「それを信じろと?」
「その発言は、私への不信と捉えてもよろしいですか?」
「い、いえ・・・・・・ですが、あまりに唐突すぎるので」
「えぇ、ですので彼をこの場に連れてきたのです。さぁ賢者の皆さん、存分にジュジュ・グレイブについての詮索をどうぞ、この場ではっきりすっきりいたしましょう」
ダリア先生は妙なことを言い出した、そして、俺は思わず先生の事を見ると、彼女はまたもや嬉しそうに笑っていた。
そんな、唐突に始まった取り調べのような状況の中、口を開いたのはこの部屋から一番遠い所、七角形の頂点に位置する場所に座る、白銀で長髪の美青年だった。
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