第53話
-----…
「ぅんんっー…え、、」
目が覚めて上半身を起こした私は一瞬状況が把握できなかった。
誰かが隣に寝ていたとかそういうのでは無く、何故ここで寝ているのか。
私の記憶ではリビングでみんなと食べたり飲んだりしていたから。
スマホで時間を確認するとまだ7時前。
きっと裕哉さんも伊織さんも泊まっているんだろうけどまだ起きては無いはず。
静かに寝室の扉を開けリビングへ向かう。
リビングのソファーで奏が寝ていて、その下の床で裕哉さんも寝ていた。
伊織さんは?と思った瞬間隣にあった洗面所の扉が開いた。
「わっっ」
そこから出てきたのはシャワーを浴びたであろう伊織さん。髪が濡れていて、ズボンは履いているものの上半身裸で肩にタオルをかけている伊織さんと目が合った。
びっくりして声が出た私は自分の手で口を押さえた。
奏たちに視線を向けるとまだ起きる様子は無さそうで安心した。
「おはよ。」
「…おはようございます。」
「シャワー浴びる?」
「浴びたいです…」
「んじゃその前に…」
気付くと、伊織さんが今出てきたばかりの洗面所に私は引きずり込まれていた。
パタンと扉が閉まる音が聞こえた。
ゆっくりと距離を詰める伊織さん。
上半身裸で髪も濡れているせいか色気がだだ漏れている。
私は後退りをすると後ろにある洗面台にぶつかった。
「あ、あの…」
「そろそろ教えて貰おうかな。」
スルリと伊織さんの右手が私の服の中に侵入してきた。
「あっ…」
今度は私の右手首を伊織さんの左手が優しく掴む。
「…ここと、…ここ。」
伊織さんが触れた場所は昨日蹴られた場所と強く掴まれて痣になった場所。
「誰にやられた?」
「…」
「教えてくれないの?」
伊織さんは急に何も答えない私の首筋に舌を這わせてきた。
「はっ…だめっ、お風呂入ってない、から、汚い…」
「俺はそんなこと気にしないけど、あとでちゃんとこの痣のこと教えてくれるって言うなら止める。」
そう言いながら私の首筋に沢山キスの雨を降らせていた。
「う…わ、分かった。言います、、だから、」
「ん。じゃあシャワー浴びてきな。」
納得した伊織さんは私の頭を撫でると洗面所を出て行った。
やっと解放された私はドキドキと高まった熱を冷ますようにシャワーを浴びた。
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