第46話

電話が終わり戻ってきた遼さんに甘いカクテルを出してもらい、昨日の様に1人で飲んでいると周りの人がコソコソと話しているのが聞こえてくる。


「あの子だよ」


「あー、もう見るからにって感じ」


「外堀から埋めて伊織さんに近づこうって魂胆だよ」


「どーせ体売ってんでしょ」


ここに通ったら面倒なことに巻き込まれる?暫くは通うのやめとこうかなとか考えながらカクテルを飲んでいると、いい男が見つからなかった様子の寧々が隣に座ってきた。


「音、今日は前に話してたオーナーのお友達が来てた!!2階に行ってるの見た!」


興奮した様子でキャーキャーと話す寧々。


「そっか、良かったね。」


「もー、めっちゃイケメンだったよ!!!」


「寧々はまだここ居る?私そろそろ帰ろうかなって思ってるんだけど、」


「あっ、じゃあ私も帰る!」


(友達と帰るね)と奏に連絡をするとすぐに(分かった。気を付けて帰ろよ。)と返信が返ってきたので私たちはクラブを出た。


「またオーナーのお友達見たいな、明日も一緒行く?」


「んー、私暫くは行くのやめとこうかな。せっかく服も選んでくれたのにごめんね。」


「そっか、じゃあ気が向いたらまた一緒行こうね!」


こういう時、普通は何で?何かあった?とか聞いてくるんだろうけど寧々は何も聞いてこない。


別に話したくない訳ではないけどそうしてくれる事が私にとっては気楽に寧々と居れる理由なんだ。


「また月曜日ねー!」


駅で寧々と別れて家へ帰る。


今日はしっかり買い物をしてクラブに行ったから少し疲れた。

家に着いてソファーに寝転ぶとだんだん意識が遠のいていった。



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