第38話 戦術×成長
◆11戦目:ゴブリン・キャプテン(Lv10/斧装備)
待機室の扉が静かに開く。
現れたのは、他のゴブリンより二回り大きく、片目に傷を持つ斧兵。
力任せな突進ではなく、間合いを測る冷静な視線を放っている。
「……こいつ、ただのゴブリンじゃないな」
斧が唸りを上げる。
だが迅は、見切りLv1を駆使して刃筋を読み、空手の直突きで体勢を崩す。
続けて合気道の投げ――しかし重量のある鎧が衝撃を殺す。
防御も硬い。ならば、攻撃の隙を増やせばいい。
テコンドーの回し蹴りで連撃、ゴブリンの動きがわずかに鈍った瞬間、正拳突きで決着。
報酬は【衝撃耐性Lv1】の熟練度アップと小ポーション。
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◆12戦目:ゴブリン・アーチャー隊長(Lv11/複合弓装備)
扉を抜けると、広めの闘技場。
四方に張られたロープと高台、遠距離戦を得意とする地形だ。
「……嫌な配置だな」
現れたのは黒羽根の矢筒を背負うアーチャー隊長。
初手から矢の雨が降る。迅は横ステップで回避するも、一本が肩を掠める。
「っ……速い!」
痛みを無視し、気を脚へ集中――瞬発力を底上げして高台へ駆け上がる。
空手の貫手で弓を弾き、合気道で相手を地面に叩きつける。
追撃の膝蹴りで戦闘不能に。
この戦いで、迅は気功の流れを瞬間的に脚へ集中させる感覚を得る。
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◆13戦目:ゴブリン・セントリー(Lv12/双短剣)
次の相手は、漆黒の皮鎧に身を包む双剣士タイプ。
その動きは獣のように俊敏で、視界から消えるような踏み込みを見せる。
「……来る!」
見切りと予感Lv1が同時に反応し、迅は上体を逸らして一撃を回避。
カウンターのテコンドー後ろ回し蹴りがかすめるも、相手は低姿勢で再接近。
互いに間合いを測り合う、瞬間の勝負――
合気道の崩しから、気を込めた掌底で一気に吹き飛ばす。
倒れた相手の双剣が地に落ちる音が、勝利の合図だった。
この戦いで迅は「気の集中を維持しながら複数動作を行う」感覚を掴み、
次なる14戦目への布石が整う。
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