第3話 希望の救世主?アルムンド登場

ヴァンパイア〈アルムンド〉はお気にのスーツが汚れないように散らばっている屍をさけながら四角柱が並んだ道を走っていた。


転移した世界をより見てみたいとは思ったがいまは朝、日差しがアルムンドの体を焼き素肌から異臭が漂っていた。


いますべきことはこの日差しが当たらない場所に移動しなければ。


◁▶

こうなったのは今から一カ月ほど前だった。


ベッドに寝そべりながら見ていた一つのネットニュースが始まりだった。

【男性が急に暴れ、複数の人に噛みつき複数人に軽傷】


調べると思いの他の近くで起こっており、怖くなり扉と窓に鍵をかけ、ベッドに戻りごろごろしていたら睡

魔に襲われて眠ってしまった。


強く物を叩く音で目が覚めた。


「なぁ……に?」

ぼぉーとしながら


叩く音は何度も何度も繰り返され、〈美香〉はその異様な行動に恐怖を感じながら、音がなった方向である扉の先をインターホン越しに確認した。


その光景は異様であり、額から血を流した人が口をあけ涎を垂らしながら扉を何度も叩いていた。


窓からも同じ音がし、覗くと同じ外見の人が窓を叩いていた。


窓には幾つかのひびができており、いつ割れてもおかしくなかった。


私は寝る前に見たネットニュースと今の光景がなぜか繋がったように感じ、慌ててテレビを見た。


「三橋ですっ!現場は大変混乱しており。ゾンビパニックです。ゾンビが人を襲いまるで地獄を見ているようです。」ニュースキャスターが現場でそう実況していた。


「ここにいてもいつ窓を壊されて中に入るかわからない早く必要な物を準備しなくちゃっ」


私はリュックサックに飲食物やモバイルバッテリー、注射器等を入れた。


「美優は無地かな」


壁に掛けられていた金属バットを見てふと思った。


美優は私の妹でたまに家に泊まりに来るため荷物を置いており、この金属バットも美優の私物であった。


「美優にあったら渡そう」


そう思い金属バットを手に取りゾンビがいない窓から出た。


それから私は場所を転々としながらスマホで今の情報を調べるそんな生活を送っていった。


情報は芳しくない、都内ではパニック状態であり、ゾンビが人を襲いその人がゾンビになる状況に人々は疑心暗鬼になっていった。


「近くにいる人が噛まれている箇所を隠しているかも……近くいる人が急にゾンビになって襲うかも……」


そんなことを考えたら私も疑心暗鬼になってしまう……

嫌、とっくの昔に私は疑心暗鬼になっており、家を出てからずっと単独行動をしていた。


妹の美優とはまだ出会っていない無事であってほしいとそう思う。


目標は美優に出会うことただそれだけで今まで生きてきた。


今日もゾンビがいなさそうな道を狙って歩いていた。近くでは車が建物にぶつかっており、燃料タンクからガソリンが流れ落ちていた。


「いつ爆発するか分からないなこの道は辞めよう…」


そう思い背を向けようとした途端、自分の発言は実際に発生し、大きな爆発が轟音と共に私の体は吹き飛んだ。




「ぐっ……」

近くの建物にあたり、体から鈍い痛みが走った。それだけではよかった、しかし爆発に生じて私が当たった建物が崩れ落ち、瓦礫が私の体に落ち、その衝撃から私は気を失った。




目が覚めた。

私はからがら生き残ったものの下半身は瓦礫によって潰され身動きが取れなくなった。


大きな物音でいつゾンビが来る分からない状況に絶望した。




どのくらい時間が経っただろうか体内時計はとうに狂っており、数時間経ったのではないかと思ってしまうほどだ。


物音すら消えてしまったこの道で身動きすらできない状況に頭が可怪しくなりそうだった。


何の音でもよかった。それが、ゾンビ達の物音でもいまの美香には救いであった。


ブーツの音がした一定間隔の音が美香にはオーケストラのように聴こえた。


ゾンビのズレた歩き方では出ない音がとても嬉しかった。


「誰か助けてくださいっ!」


助けを求めた。


そうするとそのブーツの音は段々と私の方に近づいてきた。


その姿は黒の長髪で赤いスーツを身にまとい革靴を履いたまるで英国紳士のような姿だった。


この地獄のような環境にも関わらず彼の衣服には汚れの一つもなかった。


「君、大丈夫かな?」

彼は不思議そうに私のことを見ていた。相手から見ても決して大丈夫とはいえない状況で。


「瓦礫によって動けないんです、助けてくださいっ!」


「助けて僕に何かいいことがあるのかな?」

彼は困ったように言った。


「近くにリュックサックがあり、そこに食べ物が入っています。それを全部あげますのでお願いします」


「それならば早くいってくれ、分かった少々待ってくれ」


彼は私の目の前に近づき鼻を動かし、少し悩んだ表情を取った。


「臭いね……君」

彼は小さい声でそう言い、彼は私から背を向けリュックサックの方に向かった。


「お願いします…助けてください」

 背を向けて歩いていく彼にそう呼びかけた。


「君、なんか薬やってるでしょ臭いんだよねすごく」


彼は妹の金属バットを手にしていた。


「転移魔法で大量の血を失ってお腹が空いてて、始めて生きている人を見つけて良かった。そう思ったのにその人はとても食べられそうにないしかし、君は助けてくれたらその食料を恵んでくれるという、それなら助けてあげよう」


彼は近づいてくる。


「来ないでっ!」


さっきまで来て欲しかった相手が今では来ないで欲しかった。


「君は身動きが取れないこの状況で頭が可怪しくなるだろ、このままだと良かったらグールに生きたまま食べられ、悪かったらそのまま餓死だ、そんな状況に僕だ、この状況から救ってあげよう」


彼は私に近づきバットを振り上げた………








































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食通ヴァンパイアの異世界旅 鎌とと鰤 @kamatotoburi

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