ちょっと待って、っていいたくなるやつです。
すごい構えるじゃないですか。祟り神ですよ。祠と封印、やぶっちゃうんですよ。もう涙目でページ送るに決まってるじゃないですか。禍々しき念を抱えた怨霊がどよーんって出てきて、でもヒーローの真摯なあれこれでこころが解きほぐされてみたいなやつですよねうううがんばりますってなりますよね。
ぜんぜんちがいました。
でも、やっぱり泣きました。
祟り神さま、可愛すぎて、健気で、そうして、あったかくて。
悲劇を抱えて身を投げたというのに、百五十年ぶりに蘇ったというのに、自分のことよりひとのことばかり心配する祟り神=ヒロイン、澪。どこかゆるくてふわふわで、戸惑いながらも現代のものごとにそれなりに慣れていく様子が可愛くて、そうして、ほんとうにほんとうに健気で。
とある目的のために契約婚としてそんな澪を手元に置いた冷徹イケメン御曹司=桐吾ですが、本人も戸惑ううちにどんどん澪に惹かれていくのです。
ふたりが見合う視線は、互いの負うものの半分を肩代わりしようというように。
伸ばす指先は、過去ではなく未来へ手をとって、歩くために。
読後感をかんたんに述べます。
好き。
愛せちゃう。
さ、ほら。
行きますよ。
こんな世界をしらずに帰るのは、もったいない。
永い眠りから目覚めて起きたら、なぜか、祟り神と呼ばれてしまった澪姫。
祟り神ってもっとドロドロした怖そうな感じがするのですが、澪さんは、おっとりしていて、可愛いお姫様にしか見えません。
そんな澪さんと出会った久世桐吾は、彼女に、自分を養子にした久世家を祟ってほしいとお願いします。
どう見ても、澪さんのような可愛い女の子が祟るとは思えず、桐吾さんの願いをどのようにかなえていくのかが興味深いです。
そして、自分の見合いをぶち壊したい桐吾さんは、澪に妻のふりをしてほしいと頼みます。
共に生活を始める二人の関係もドキドキさせる、祟り神と人間の男性の恋の行方に目が離せません。
ぜひ、オススメいたします。