残響短文。
ヤザキ
八月の煙
夏休みに細かい日付だの曜日だのがどれほど重要なのだろうかと思いながら見たスマホの画面には、8/16(火)11:42 と表示されていた。
昨日の夜から除湿をかけっぱなしの室内にはひんやりとした空気が静かに溜まっている。無垢材の床を裸足でさりさりとなぞると、鼻のあたりに香ばしさがふわっと浮かんだ。
「なぁ、麦茶かほうじ茶、氷入れて飲みたい」
ベランダで煙草を吸っている背中に声をかける。白飛びした青空を背景に振り向いたヤツキが、指に挟んだ一本を指しながら、もう少し待てとジェスチャー。
立ち上がった大きな積乱雲と、ヤツキが吐き出した煙が、ゆっくりと夏の光に溶けた。
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