第52話 鈴木君VS尾崎君

学園内では田中君、尾崎君、鈴木君との4人部屋になってから仲良くなり、よく、4人で遊んでいた。鈴木君はみんなから『カラス』と、呼ばれていた。

色黒で掘りの深い顔をしていたからだ。

本人は気に入ってなかったけど。



ある昼、尾崎君と鈴木君と私。3人で部屋にいた時だった。

「おぃ、カラス!おまえ5歳の〇〇泣かしたやろ。幼児いじめて楽しいんか?」

と尾崎君は鈴木君に言っていた。


鈴木君は

「俺はいじめたわけじゃないねん。おちょくってきたからちょっと怒っただけや。」

と、カラス…いや鈴木君は言い返した。


雰囲気的には鈴木君はおとなし目で、どちらかというといじめられやすいタイプだった。

だが、この時の鈴木君は違った。

尾崎君は

「カラス。おまえホンマ調子乗っとったらシバくぞコラ!」


「あ?いっつもカラスって言いやがって。年下のクセにおまえが生意気なんじゃ」


と、豹変したカラス…いや、鈴木君。


「お…。やんのか?カラスの分際で。病院送りにしたるわ。」

と、尾崎君。

「病院送りにできるもんやったらやってみぃ」

と鈴木君も負けていない。



尾崎君の先制攻撃が始まった。

尾崎君の勢いのついた蹴りが鈴木君の腹に命中し、鈴木君は倒れた。

倒れた鈴木君の腹に更に尾崎君の蹴りが炸裂!


その時、鈴木君は尾崎君の足を掴んだ。

逆に尾崎君が倒れるかたちになり形勢逆転してしまった。

今度は尾崎君は髪の毛を引っ張られて顔を殴られた。




これ以上は酷くなると思い、私は止めに入った。

「カラス。おまえ汚いぞ!髪の毛掴みやがって。」

と、尾崎君。

鈴木君は

「喧嘩に汚いもクソもあるかぃ!!」

と言った。

尾崎君も鈴木君が刃向かってくるとは思っていなかったことと、やられてしまったことに自分で驚いていた。

そんな尾崎君に鈴木君は

「そんな程度やったんか?いっつも俺をいじめやがって!さすがに田中には勝てへんけどな…。」

と言った。

更に

「優里!おまえもあんまり調子乗んなよ。病院送りにすんぞ。」

と、今度は私に言ってきた。


幸い、喧嘩があったことは誰にも見つからなかったが、逆にこれがきっかけで鈴木君と、尾崎君が仲良くなっていた。

「尾崎、悪かったなぁ」

と、鈴木君も謝っていた。

後に、鈴木君と私が対決することになるとは、この時は知るよしもなかった。

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