第7話 恐るべし転校生

1年生も半年くらい過ぎた時だったかなぁ。


東京の方から転校生が来た。



「長田です。どうぞよろしくお願いします。」



と転校生が教壇から挨拶した。


担任の岡本先生が

「は~ぃ。今日からみんなとお友達になる長田くんですから仲良くしましょうねぇ」



と言って先生の朝の挨拶が終わった。


「なぁ~。あいつ東京から来たんやってぇ。なんかハイカラなやっちゃなぁ」



と私は隣の席の大石ひとみさんに話かけた。




「東京ってめっちゃ都会やねんやろぅ?ディズニーランドとかあるらしいしなぁ」



と大石ひとみさんは目を輝かせながら私に話した。



私は方言とか知らなかったから東京から来た長田の話し方が女みたいで気持ち悪かった。



朝礼などで背の順に並ぶため、ちょうど私の前だった長田はこの頃から私に執拗なイジメにあうことになる。


原因は長田の話し方だった。


私は、行進の時とか、前へならえの時にワザと長田に手や足をぶつけては嫌がらせをしていた。


長田はイライラした様子で


「ちょっと、いい加減にしてよ。ふざけないでちゃんとしてよね。」


と関東弁?で言ってきた。


「おまえ、キショイんじゃ。ナヨナヨしやがって!しばくぞ!」


と私。


ある日、学校帰りに長田を無理矢理家に誘った時のこと。

ウルトラマンの絵が描いてある子供用の自転車が目についた。しかも、補助輪がついてる(笑)


「おぃ。長田ぁ~!おまえパクってそれ乗れや!」


と私は長田に言った。


長田は


「いけないよ。そんな悪いことはしちゃダメだよぉ。」


と反抗的な意見を言ってきたのでボコボコにして泣かせてから長田をウルトラマンの絵が描いてある子供用の自転車に無理矢理乗らせた。




家に着くと仕事でいないはずの親父が部屋にいた。



親父が部屋にいることにビビって立ち尽くしていた私の後ろから長田が


「オジサン!雨夜君が自転車パクったんですよぉ~」


とチクリやがった。


親父は優しそうに、でもイラついたような顔をしながら


「君は先に帰っときぃ」


と長田に言った。



長田が玄関のドアを閉めた時だった。


ドガ!

ガス!


親父の鉄拳が私の頬に飛んできた。

更に、親父の蹴りが私の腹に飛んできた。



今度は私が親父にボコボコにされたのだった。

長田のやつがチクったからや。


くそぉ!


と私は長田にムカついていた。


次の日、長田が私にボコボコにされたのは言うまでもない。




長田くんとの事件以来、私のイジメはエスカレートしていった。



ある日のこと…


長田くんの家に遊びに行くことになった。



長田くんは国道添いの高層マンションに住んでいて、私のオンボロの部屋とは月とスッポンだった。


遊びに行くと長田くんのお兄ちゃん(小5)が現れた!


私は買ってもらったばっかりのトランスフォーマーのロボットを手に持っていたんだけど長田兄はそれに目をつけていたのだった…。


長田兄は、私が普段から長田くんをイジメていたことを知っていたらしく、始から私をシメようとしていたのだった。


「お前さぁ。いっつも俺の弟をいじめてるんだって?」


長田兄は私に話しかけてきた。


私は


「長田とはいつも遊んだってるで。」


と答えた。




長田兄「いつもコイツにやられてんだろう?」



長田「うん。標準語がキショいとか言っていつもチョッカイ出してきたりするんだよ。」



長田兄「生意気だなぁ。お前。ぶん殴ってやる。」



長田兄はそう言うと、私の腹を蹴った。


私は蹴られて吹っ飛んでしまった。



尻餅を付いた拍子にトランスフォーマーのロボットが私の手から離れ、重力に従いマンションの廊下に音をたてた。



長田兄の攻撃は更に続く!


長田兄は廊下に落ちているトランスフォーマーのロボットを私たちがいる10階から下に向けて投げつけたのである。



私はマンションの廊下の手すりから下を見たがトランスフォーマーは無惨にも地上でバラバラになっていたのだった。


「そんなぁ~無敵のトランスフォーマーがぁ~」




と私は叫んでいた。




長田兄は


「弟をイジメるんじゃねぇよ。」


と標準語?で言った。




長田兄は強かった。小学5年生と1年生のレベルの差は歴然だった。


無敵のはずだったトランスフォーマーが無惨にやられてしまったことで、私は戦意すら失われて泣くしかなかった…。



それ以降、いじめがなくなったのは言うまでもない…。

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