第31章 スケッチ職人スキル発動!夢のブーツが形になる瞬間

今から私は、完全に靴作りに集中する。そしてワールドマーケットでの素晴らしい売上を目指すのだ。




【【【スケッチ職人のスキルが発動されました!


スケッチ職人スキルを使用するには、自分が描きたい靴のデザインを思い浮かべてください。


その後、あなたの体は自動的に動き始めます。


※特定の人物向けの靴ではないため、すべてはあなたの想像力次第です】】】




 そう表示された私は、すぐにプレイヤー画面からスキル欄を開き、「スケッチ職人」のスキルを選択した。そして、ゆっくりと目を閉じる。




 ――どんな靴を作りたいのか?




 今、自分に問いかけているのはその一点だった。




「なんで目を閉じたのかしら?」


「集中しようとしてるのかも」




 後ろで見守っているメアリーとベアトリクスの声が聞こえる。ふたりとも興味津々で私を見つめているのがわかる。




 数秒間考えた後、私は決めた。今は牛革の素材が多く残っているから、それに適した、丈夫な靴――ブーツをデザインしよう!




 すると私の身体は自動的に動き始める。




「わっ、すごい速さ!」


「これ……魔法なの?」




 ふたりの驚きは当然だ。私自身も最初はこの動きに驚いた。外から見れば、まるで魔法の儀式のように見えるに違いない。




 私はペンを手に取り、夢に描いた靴をスケッチしていく。まずは長くて広めの靴底から始まり、次に丁寧にデザイン模様を描き出す。




 そしてつま先部分に移り、8つの穴を開けて靴紐を結ぶ部分を描いていく。




 描き終えたあと、今度は定規を手に取り、前後の長さを正確に測る。想定した硬さや強度にぴったり合う距離だった。




 次に靴底の厚みを確認するために、地面からの高さを測り、不要な線を消しゴムで消してから、再度丁寧に修正を加えていく。




 このスキルは、失敗を前提に何度も測定し、修正できるよう設計されているらしく、完成度の高い図面が自動でできあがっていく。




 最後の工程は、靴の中敷き部分に少量の綿を入れて柔らかさを加えるためのスペースを確保する作業だ。そのスペースを空けるように線が引かれていく。




 色の指定以外はすべて終わり、身体は最後にもう一度全体を確認するように素早くスケッチ全体を再チェックしている。




 そして――




 完成した。




【おめでとうございます!


スケッチ職人スキルを見事に使いこなしました!


冬用として使用可能な素晴らしい『ブーツタイプの靴』を描き上げました。


※注意:スケッチ職人スキルは1日に1度しか使用できません。次に使えるまでの残り時間:23時間59分58秒】




 お馴染みのシステム通知が表示され、私は自分の理想とするブーツを無事に描き終えた。




 ただ、1日に1度しか使えないというのが少し不便だ。レベルが上がれば制限も緩和されるだろうか?




「……あなた、天才ね」




 ベアトリクスが美味しい料理でも見たかのように、うっとりとした表情で私を見つめてくる。




「靴作りって、ここまで細かく図面を描くものなのね……」




 メアリーもまた、机の上に置かれたスケッチをじっと見つめながら、感心したようにつぶやく。




 スケッチは完成した。でも本番はここからだ。




 これから靴型を作り、塗装をして、仕上げて――




 すぐにワールドマーケットに出品するのだ!

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