交換日記で学年一の美少女と仲良くなりました。

夕日ゆうや

交換日記

『食事でもしない?』

 俺は交換日記に書いてある言葉に絶句した。

 俺のようなモブキャラと学年一可愛いと言われている白石しらいしさんとの秘密のやりとりも今日が最後だ。

 中学生の三年間はあっという間だった。

 これからは高校生だ。

 だが、俺も白石さんも別々の高校に行く。

 俺みたいなのが彼女と関わっていたなんて知られたら、きっと迷惑だろう。

 俺はクールに去るぜ。

 卒業式後の教室でぼーっとそのときを待つ。

 ここから離れるのが嫌なのかもしれない。

「あれ? 狩野かりのくん、どうしたの?」

 白石さんは友達と話し終えると、俺に話しかけてきた。

 その注目をいっせいに浴びる。

「あれれ。もしかしてこの中学校から離れるのがいやなのかな?」

「そういうお前だって」

 お前だって論法は使いたくなかったがつい言葉になってしまった。

「そうだよ。わたし、狩野くんと離れるのいや」

「え。それってどいう?」

 俺の言葉も聞かずに走り去っていく白石さん。


※※※


「それが二人のなれそめです」

 結婚式会場に響く音で友人のCくんがスライドを指し示す。

 おれののろけを聞いてくれる親族や友人がいて、なんだか恥ずかしくなった。

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交換日記で学年一の美少女と仲良くなりました。 夕日ゆうや @PT03wing

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