梦生単語採集帖

永遠とわ

2021/10/29 16:00

綾紐の檻を眺遊の眼差しで見つめる。

どうしてそんなことができるのだろうか。


ダッ ダッ ダッ ダッ

ダン、ダン、ダン、ダン、ダン、ダン、ダン、ダン

ダダダダダダダダダダダダ


 脳内では耳を塞いでも聞こえるほどの雑踏。息を整えることも忘れて、ただひたすらに走り続ける。

「どうして理解してくれないの!」

 階段の下から聞こえる悲痛な叫びが校舎内に木霊する。得体の知れない物を前にして理解しようとする方が無理な話だ。

「近づかないで!何度言われたって分からない、分かるわけがない……」

 部活に行こうとする生徒、下校の準備をする生徒、スマホを片手におしゃべりをしている生徒。そんな生徒たちを突き飛ばす勢いで廊下を走りぬける。後方からは怒声が飛んだくるが気にして入られない。廊下を走り抜けた先にあったのは屋上に続く階段だ。

屋上には生徒が入らないように机やら、行事で使う荷物が積み上げられている。どうせ程の良い嘘で倉庫にしてるだけだろうが、今はちょうどいい隠れ場所だ。おんぼろの道具たちに身をひそめ、息を整える。頭内の響踏に心音が重なり息焦がどんどん酷くなる。

 これはきっと、悪夢だ。体を震わせながらそう言い聞かせる。現実のはずがない。



目を覚ませ 目を覚ませ 目を覚ませ

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