『その日はきっと』

概念としてしか脳機能が認識しない存在が。

現実としてそこにある。


言葉としてしか知らない物体が。

この足元で数千度の炎を滾らせている。


あまりにも巨大すぎて当たり前にそこにある。

だけど正確にそれを認識する事は出来ない。


それを語る事はまるで。

夢を語る事そのもののよう。


それを知ろうとする事はまるで。

蜃気楼の国に旅行に行く事のよう。


それでもそれは今日も動いているし。

おそらく明日もそれは続くだろう。


それを語り知る事。

それはまるで。

終わらない夢の続き。


昨日も今日も明日でさえも。

終わらない夢の続きを見ているよう。


わたしは少し怖くなる。

終わらない夢の終わりが来る日の事が。

ほんの少しだけ怖くなる。


いつかその日がやって来る。

終わらない夢の終わりを想い浮かべる。

その日はきっと。

なんでもない日。

わたしは少しだけ優しくなる。


脳機能が概念としてしか認識できない。

何億何十億のわたし以外のその人達にとって。

言葉としてしか知る事のない。

それにとって。


その日はきっと何でもない日。


だからわたしは少しだけ安心する。

終わらない夢の終わりが来る事を。

そうそれは。

きっと誰にとっても何でもない日。


わたしの最後のその日はきっと。

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