第4話 見つかった…

障子を開けて確認する?だが、人影の主はまずいことをしていて、俺に見られたことで逆上したら?ガラス戸を割ってこの部屋に侵入する暴挙にでも出たら?


そんなことを思っていると、影は障子の左から再登場してきて、ゆっくり右へと進んでいる。明らかに人の形だ。


俺は、俺がいることをアピールしようと、咳払いをした。


右に移動していた影は、咳に反応したように、ぴたっと止まって、こちらに向いて、さらには向かってきたのだった。




影は、ガラス窓をすり抜けてリクライニングの椅子の有るスペースに上がって来たかのように近づいて来て、障子の前にまで来た。


俺は血の気が引いた。この黒い影が心霊現象で言われている存在、いわゆる幽霊ではないか思った。


影は、障子をすり抜けるくらいに近づいた。俺はとっさに、身体を横たえて、顔あたりにまで布団をかぶって寝たふりをした。しばらくして、うっすらと目を開けてみた。すると暗闇よりも黒い影が、ゆっくり眼の前を横切っていた。慌てて目を閉じて、もう薄ら目も開けず、必死に寝たふりをした。


その内、本当に寝てしまったようで、気が付くと朝だった。


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