第3話 深夜に目撃

黒い影のことは、俺の疲れかなと思っていたが、部屋で料理をいただいて、温泉につかって、深夜0時頃に、俺は床についた。


それから、ふと目を覚ました。枕元のスマホを手に取ると、深夜3時。部屋は、足側に有る障子を通して月の明かりが差し、白くぼんやりと浮かんでいる(障子の向こうはリクライニングの椅子に座ってガラス戸を通して坪庭や月夜を鑑賞できるスペース)。シンと静かだ。



さてと。俺は、トイレに行こうと上半身を起こす。目に入った足側の障子には、枝や葉を揺らす坪庭の木々の影が音も無く浮かんで、揺れている。


立ち上がるべく右足を立てた時、障子の右側から、すぅっと黒い人の影が木々の影に混じって現れ、まっすぐ左側へ進んで障子の端に達して消えた。



その動きは、人影にしては不可解なものだった。歩いているのに、上下にブレていない。シンと静まった今なら、足音が多少聞こえてきてもよいのにそれもない。それに、こんな時間に誰が坪庭を歩いているのか?俺の身体に緊張感が走る。


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