夢と現の間に幽霊?【怖い話・体験談・幻想的・旅館】

KAKIKURA

第1話 序

大学サークルの同窓会の帰り道、秋風に吹かれながら辿り着いた府中駅南口の暗い路地の喫茶店にて、俺(精神科医・32歳)と小田は、きつめのウイスキーをゆっくりと飲んでいた。


小田は「医学部は六年制だから、俺たちよりも遅く卒業したお前だけど、ちゃんと医者になっていて安心したよ。でも、精神神経科医だなんて何かの縁だ」と言ってグラスを口に付けてから、「相談じゃなくて他愛無い話しだから、診察料は取らないでくれ。大学時代に北関東に旅行に行った時の妙な出来事のことだ」と言う。


俺は閃いて、「卒業前の旅行のことか?ずっと気になってたんだ。高級旅館に泊まれるってはしゃいでいたのに、帰って来ても旅行のことを口にせずに、何かに怯えているようだったよな」と言ってから、先を促す。


小田は微笑しつつ「あやうく、幽霊研究のために大学院に進学しようとすらしてしまったよ」と言って、その時のことをしゃべり出す。




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