第2話 イケ麺

 店のクルマで送ってもらって私は待ち合わせの喫茶店に入った。


 スマホを開け、店から転送された、客からのメッセージを読み直す。


『窓際の席でチェック柄のテーラードジャケット』か……


 見回してみる。


 はたして該当者は居たが……


 何だよ、いい感じのイケ麺イケメンじゃん!


 う~ん

 まあ、イケ麺だってドーテーから始まるんだし……


「空いてる?」

 とイケ麺の前の席に腰掛ける。


 そんな私に

 相手は驚きで目をしばたたかせる。


 私は人を間違えたか? それとも驚かれるような恰好か?

 私の恰好はデニムに5分袖のニット、手にジャケット持ちだが、それが何か?

 なので……

 少しきつめに言ってやった。

「人、間違えだったらすみません。私、デート詐欺なんです」


 私の言葉にイケ麺くんは弾かれたように笑い

「ごめんなさい。あぁビックリした……あの、どうぞ」と改めて私に椅子を勧めた。



「私はビックリされるほど違和感あるか?」


「いえいえ…… あの、なんて言うか…… オレのカノジョよりイケてるんで」


 ヤバい。こいつ 残念なイケ麺くんだ。 さっさと断ろう!


「あぁ、そんなのどうでもいいからさ。悪い事言わない。私じゃなく別のコにしな」


「どうしてですか?」


「私がを気に食わないから」


「笑ったこと、謝ります。だからそんな事、言わないでください。 オレ、あなたを気に入ってしまったから」


「あのね。そういう一方的なシステムじゃないのね。ウチは!女の子側も拒否権ってのが、あ・る・の! でね、アンタは拒否られてんの」


「それは……傷つくなあ」


「そう? アンタみたいな残念なイケ麺は、少しは傷付いた方が世の為なのよ」


「世の為、ですか?」


「今だってカノジョ裏切って私達みたいのを呼んでんじゃん」


「それはですね……」と言い掛けたカレを私は制した。


「これ以上話を聞かされるなら座んなきゃ! まずなんか頼むわ。話はそのあと」



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