【13】【14】

【13】 ─執務室 9時─


 お父様の執務室の前まで来てみた。

 元々、明日の卒業パーティの前に、相談していた事について話があるのだし、先に話を聞いておくのは悪くないわよね。


 ……そう思ったのだけれど。


「お父様?」


 コンコンと扉をノックするも、中からお父様の返事が返ってこない。


「いらっしゃらないのかしら?」


 ノブを回してみるも、ガチャガチャと音がするだけで、扉は開く気配がない。

 鍵が掛かっている……と、言う事は。お父様は留守なのね。


「いつもはこの時間、中でお仕事をしてらしてるのに……」


 少し待てばお父様に会えるかしらと思って、すこしみっともないけれど、扉の前で座って待って時間を潰していると、ハウスキーパーが歩いているのを見つけた。


 お父様の事を聞いてみると、どうやら朝食の後に、所要で出掛けられているとの事。

 午後には戻ってこられるとの事なので、その頃にまた来てみればいいかしらね。


 待ってる間に11時になってしまったし、一旦他の場所を散策しましょうかしらね。

 そうしたらこの後は、どうしようかしら。




 書斎へ本を読みに行く    ⇒【75】へ進む

 庭園へ花を見に行く     ⇒【4】へ進む

 演奏室へピアノを弾きに行く ⇒【67】へ進む




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【14】


 体が重くて動かない。

 逃げないとと思ってるのに。

 そうこうしてる内に、目の前の男が腕を振り上げたかと思うと、胸に何か当たる感触。



 ゆっくり視線を向けると、そこには、わたくしの胸には、深く深く、突き刺さっている、一本のナイフ。



「……え……」



 な……に……?



 何でと思う間もなく、ノドを何かがせり上げる感覚と共に、カハッとそれを吐き出せば、赤黒い血が吐き出される。

 ビシャリと吐き出されたそれは、着ていたドレスを鮮血に染め上げた。



「…はっ……ぅ……」


 ヒュッヒュッと、か細く吐く息の音が自分の耳に届く。

 男がナイフを抜き取ると、胸からもドス黒い血が噴き出す様に溢れ出る。

 血が流れて行くのと同時に、意識が混濁し始めてきて、体は熱いのに、末端から氷の様に冷えていく感じを受ける。


 そんなわたくしの様子を見ると、男達は無言で部屋から立ち去って行くのを見ると、男の近くに誰かがいるのか、人影が増えているのに気が付いた。


「……、で…………っ……」



 あれは、あそこにいるのは殿下だ。

 殿下はわたくしを見て助けに来るどころか、おぞましい程に口角を上げて、ニタリとした笑いを浮かべて見つめてきた。

 あぁ……そう……、そうなのね……。


 バラの毒も……覆面の男も……殿下が計画した事なのねと気付いたけれど。

 もう、身動ぎする事も出来なくなったわたくしには、どうする事も出来なくて。


 満足そうな笑みを浮かべた殿下と、その腕に寄り添う様にしなだれ掛かっている、男爵令嬢の姿を見たのを最後に、わたくしは一人、そのまま息絶えたのだった……。




 BAD END




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