このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(225文字)
読んでいる間、作者さんが命を削って書いてるのが分かる。登場人物たちがただのキャラクターじゃなく、“誰かの分身”であるように思えた。時間の描き方が美しくて、特に斜陽、月、セミの声――すべてが感情の比喩として機能している。そして、病室という“終わりを予感させる場所”で生まれる想いが、逆に“生の希望”になっている。まだ連載中だけれど、すでに心に刻まれている。この作品がどう着地するのか、読者として、同じ創作者として、静かに、でも確かに見届けたいと思う。
主人公の少年と、同じく主人公の少女二人の視点で交互に綴られる本作は、潤沢な語彙と豊潤な文学表現で満ちる美しい純文学作品だ二人の出会い、そして、まだ恋とも言えない恋の萌芽一言では言い表せない感情を見事に表現し、この物語を見事に飾っているまた、本作は、ただただ二人が距離を縮めていく物語ではない残酷な運命が、別れが、二人を待っているだが、本作品は、それすらも美しいのだ是非、一度、この物語に触れてみてほしい