透明人形
リント
第1話
雪の降る町で彼女はただ一人⋯
雪が降っていた。百合は冷たい風を感じた。時計は20時を過ぎていた。夢の中のようで冷たい。
家に着いた。百合は一人で暮らしていた。いつもこの時間の頃に帰ってくる。冷えた手を暖めていた。
作っておいた夕食を温めて食べる。肉じゃがと味噌汁とご飯で、百合は食べる量が少なかった。
食べ終わるとお風呂に入った。窓の外は雪が降り続いていた。透明な景色のように鮮やかだった。
風呂から上がると髪を乾かして寝た。透明な人形のように生きていた。夜の中で一人ぼっちだった。
目を覚ますと冷たい朝の景色は静かだった。雪は積もっていた。優しい夢の中のような景色だった。百合はそのまま、外の景色を眺めていた。
遥斗が百合の家に来た。
「雪が積もっているね。今日はどうやって学校に行く?」
「歩いて行く」
「歩いて行ったら、学校まで距離があるよ。車で行かない?」
「車で行こう。それまで、一緒にコーヒーでも飲まない?」
百合は制服に着替えた。美しい黒髪は綺麗に整えられた。小さな背で、制服を美しく着ていた。
「朝ご飯は食べた?」
「ああ、食べてきたよ」
「なら、私ちょっと今から作るね」
手際よく百合は朝食を作り始めた。朝食を作るとコーヒーを淹れた。
コーヒーを二人で飲みながら、百合は自分の作った朝食を食べた。
「コーヒー、おいしい?」
「おいしいよ。百合は料理上手だね」
外に出ると一面が真っ白な雪だった。百合と遥斗は車に乗った。
「学校に着いたら雪合戦でもしよっか」
「やろっか。こんなに雪が降ったんだね」
学校に着いた。人はまだ少なかった。百合と遥斗は教室に鞄を置き、雪の積もった校庭に行った。
百合は遥斗に雪を投げた。少しずつ校庭に人が集まってくる。冬の晴れた太陽は、雪を溶かしてゆく。二人は雪を投げ合って、夢のような「時間」は流れてゆく。
学校が終わると、百合は着替えてまた夕ご飯の作り置きを作った。
その後、鞄に本を入れて小倉のデパートに行った。その中の喫茶店に入って、ずっと本を読んで過ごしていた。
静かな所だった。冷たく時は流れている。
夜のモノレールは、人は少なかった。静かにモノレールは進んでゆく。冷たい瞳で、夜の景色を眺めていた。
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