彗星の咎—平安再生記より

吉晴

第1首 彗星の咎

「——天警や 命喰らいて燦然さんぜんと こぼるは未知なり 彗星の咎」





漆黒の闇を切り裂き、突如、彗星が落ちる。

まるで時空の大流からこぼれ落ちたかのように。


中には1人の女性。


空には超新星爆発SN1006が、鋭く燦然とした輝きを放つ。まるで全ての元凶のように——そのあまりの特異さに、禍々しさを覚える者もいるかもしれない。


女性は激しい呼吸を繰り返した後、体を起こした。

……つまり、彼女は——


生きている。



陰陽師安倍晴明は、その成功を確信し、静かな武者震いに和歌を詠んだ——





「——天警や 命喰らいて燦然さんぜんと こぼるは未知なり 彗星の咎」







当小説、初出の和歌になります。

平安時代、天は神々の世界、星の動きは神々の意志と考えられ、特に超新星爆発は凶兆とされたいたといいます。

星が死ぬ時に発される強烈なエネルギー。

そこからこぼれ落ちた、未来から呼び寄せられた主人公美影は、晴明には未知の存在であり、世の理を逸したその行動は咎でもある。


また物語が進んでいくと、"咎"にまた違った意味が見えてきます。


乞うご期待。




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