第31話 最終ミッション

 特別更生プログラムの最終ミッションは風紀委員室で知らされることになった。

 俺はミッションをやり遂げられるのだろうか?


※※※


 放課後になり、俺は風紀委員室で北野と対面した。これから打ち合わせになる。だけど、桜井が学校に来なくなってから俺は元気がない。それは北野も一緒のようだった。

 北野が言った。


「学校に来なくなった生徒と試験勉強に付き合うこと。これが最後のミッションよ」


「桜井さんのことか」


俺はなんとなく察していた。


「そうよ」


「計画表に変更があるって言っていたからこのことだったんだね」


俺はため息を吐いた。


「桜井さんは返事も出来ないのにずいぶんと勝手な話のように感じるよ。これは学校側には関係ないのにね」


「学校側の決定なんだけど、理由はね、成績優秀な生徒を放置できないからだそうなの。私たちの事情に介入してほしくなかったんだけど」


北野の無力感が伝わってきた。


「責任は感じてる。俺のせいでこうなったんだからさ。」


俺が言う。


「そんなことはないわ。そもそも大地君の付き添いを引き受けたのが私の責任よ。だから責めないで」


「そんなこと言ってるけど、お互いに会わなければよかった、という発言に聞こえるよ」


「・・・・・・」


何も言えなくなった北野に俺はまたため息を吐いた。


「これから、どうしよう」


俺がつぶやいた。


「春と話してみるわ。大地君も手伝って」


「それだと俺のミッションなのにいつのまにか北野さんのになっているよ。良いの?」


「そうね。ごめんなさい、つい」


「俺も、ごめん」


 なんだか時間だけが過ぎていくようだった。辛い。

 こんな時、須藤先輩だったら何て言うだろう?

 

 俺は彼が言いそうな事を考えていた。

 そして、その答えはすごくシンプルだった。


 ――おまえが謝るしかない。それでダメだったら潔く引くんだ。


「北野さん」


俺は彼女の方を向いた。


「俺と一緒に謝りに行こう」


※※※


 こうして俺と北野は桜井に連絡を入れた。

 すると、駅前のカフェで話をしたいと向こうから返事があった。

 明日、桜井と会うことになる。

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