第4話 特別更生プログラム

 今俺がいるのは、校舎内の廊下だ。そばに中庭がある。


 休み時間ももうすぐ終わろうとしていた時だった。


 俺と北野咲は対峙していた。

 彼女は俺に何か注意をしようとしているのか厳しい目をしていた。

 

 目線が合う。

 その目は俺に釘を刺すようで、ただの注意では終わらせないようだった。


……一体、何なんだ? 俺は、彼女の意図を探ろうとした。すると。


「あのイエローカードをもっているかしら?」


北野が俺にそう言った。自分の状況を理解しているのか? と問われているような、そんな口調だった。


「え? あるけど・・・・・・」


一瞬、どういうことかと思った。

俺は疑問を抱きながらもポケットからカードを取り出し彼女に差し出した。


「その様子だとカードの裏には気づいていないようね」


 え? 裏に何か書いてあるのか?


 俺はカードをひっくり返してみた。するとそこには細かい字で『特別事項』なるものが書かれていた。


特別事項:

このカードを受け取った生徒(あなた)は、翌々日の放課後から三ヶ月間、風紀委員の付き添いによる『風紀委員室特別更生プログラム』を受けること。

付き添いの担当者が決まり次第、その者があなたに声をかける。


「こんなのが・・・・・・あったの?」


俺は思わず口を開けたまま呆然とした。じっと見ていると北野は言った。


「あなたの【付き添い】を私がすることになったの」


 北野が言って俺は顔を上げた。彼女は真剣な目で俺を見つめていた。

……北野咲は、俺を更生させるつもりだった。その目は、本気だ。

 

プログラム開始は明日の放課後だった。

しかしその前に、北野がある行動に出るのを俺は目の当たりにするのだった――。

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