すべて思い出したあの日から...
独路ヤップ
第1話 バカンス
「あー、えっと、これからみなさんには、いい思い出を作ってもらえるように無人島で生活してもらいます!」
そのセリフと共に12人を乗せたフェリーは小さな無人島へと連れて、出発した。
「うぅぅ、ん?あれ、ここどこ?」
「やっと起きた..........早く行こうって言ったのはそっちじゃん、
ここはどこだろうか確かについ最近までどこかに旅行に行こうという話をしていた気がするけれど、何というか全く思い出せない。
「あ、あの、秋名って僕のこと?」
「そりゃそうでしょ、あんた意外誰がいるのよ!もしかして付き合ってることも忘れちゃったの?」
そんななれなれしい知人はいた気がしない。記憶がない分、そこら辺の事が曖昧だが、彼女も僕に好意を持ってくれているみたいだし、僕に似合わないくらいの美人だし、今はそうだと信じておこう。
「あのさ、何でか分かんないんだけど、記憶がいろいろと思い出せないみたいなんだよね................本当に僕たちって付き合ってるのかな?」
「そりゃあ、もちろん。取りあえず、バカンスを楽しみましょう、そのうち楽しいことしてたら思う出すわ..........絶対」
「あの、名前なんだっけ?」
「みつき、前田みつき、みーちゃんって呼んでくれてたわね、そう言えば」
ある程度、フェリーが進んだところで無人島バカンスの案内人が言うように小さな島が見えてきた。まるで少人数で暮らすのにもってこいの広さだ。
「やっと、ついた!も~つかれたわ~」
行く前に案内人の人に呼び出される。
「あの、どうかうまくいくことを願っています」
何のことか分からなかったため、聞き流すようにして、彼女の元へ戻る。
他の参加者も体を伸ばしながらその島へ足を踏み入れていった。ちょうど自分の番が来た時に足を踏み入れるのに一瞬抵抗があったが、後ろからせかすような声があったのでやむなく降りることにした。
この島で最初に目についたのが1つポツンと建っているコテージだった。水色と茶色のペンキで色分けしたような少し自然と同化させたような感じもするが、周りに木々がそびえたっている中でなんとも浮いている家だった。
「私はここの管理をしておりまして、夏にはたくさんの旅行客が来るんですよ」
案内人はそう楽しそうに荷物が載っている台車を運びながらコテージの中を案内してくれた。家の中は至ってシンプルで1階はリビングと台所になっていて、2階に10ヵ所部屋があって各自が楽しめるように海を眺めるエリアも2階のベランダに広々と家具が備わていた。
「そろそろ、いいですかね周りの皆さんも集合して今からバカンス生活を行うためにまず、自己紹介と行きましょうか!」
それぞれが男女で話し合っていると1人の男性が前に一歩出た。
「僕は
「私は
自己紹介を行っている中でヒソヒソと何か喋っているカップルもいるようだ。まあ、気にしないに越したことは............いや面倒になる前に後で話し合っておこう。
「
「ああ、あの、
4人の自己紹介が終わったところで、残り8人がモジモジしていると急に大きい声で荒い自己紹介のようなものをし始めた。
「あ~~、
「
一瞬他の2人と二式さんの目があったような気がしたが、気のせいだろうか?
「
「村竹ちさめっていいます。趣味は特にないですけど、しいて言うならお菓子作りかな~~~、ユータくんといっしょに来ました。よろしくね~~」
やっぱり何かヒソヒソしている二式さんも夢西さんもどこか様子が変だ。
まったくと言っていいほど、自然を楽しんでいる感じではないな。なしかしら事情があるのかもしれないし、カップルの間事情に口を挟むのよろしくないだろう。
「アナベル・リーンって言います。
「あ~~と、
いよいよ自分の番が回ってきたが先にしゃべったのは..........。
「前田みつきです。今日からおもしろい2週間にできたらいいと思っています、コテージ
少し早口な彼女に緊張しているのかとニコッと笑ってみたが、茶化されてるかと思われ、腰を突かれる。
「
「確かに、船酔いしたかもしんないな~~ってことで明日集合で、しゃす」
夢西サイガがそう言うと、案内人が慌てた様子で部屋のカギを皆さんに渡しておきますねと言って、1人ずつ渡し終わったところでこの日は各自自由に動くことにしたのだった。
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