第15話 東の勇者と聖女
さて、このゼインJr.をどう対処したものか。
倒すメリットもぶっちゃけないのだが――しかし、彼自身は俺に深い恨みがあるようだからな。無視するというわけにもいかないよな。
「じゃあ、お前を倒すしかないようだな」
「ああ、掛かってこい。俺は親父とは違い………強いぞ」
なんで妙にイキがってんだ、コイツは。
「そうか。こっちは恨みはないんだが、どうしてもというのなら相手するよ」
「アンディス、お前の運命はこれまでだッ!」
一応、勇者の息子らしく剣使いか。
素早い動きも親父譲りらしいが――しかし、デモゴルゴンが瞳の色を赤くする。その瞬間、まがまがしい怪光線が出るや、ゼインJr.に直撃。
彼の体を一瞬で『石化』させた。
こ、これは……非常に強力な状態異常スキルか!
「ナイス、デモゴルゴン!」
「いえいえ、今まであまりお役に立てなかったので~、これくらいはさせてくださぁい」
そういえば、デモゴルゴンの活躍を見るのはこれが初めてだな。まさか、こんな強いとは。
「…………ぐ、ぬ」
ゼインJr.は、状態異常を対策していなかったようで、首まで石化していた。じわじわと迫ってきている。あのままでは完全に石化するまで数分もないだろう。
「どうだ、俺の自慢の四天王たち。強いだろう」
「バカな。この時代の人類はなにをしているんだ! 四天王は、大魔王ベルフェゴールの大幹部だろうが! 人類を滅ぼしかけたというのに……こんな危険な魔族を野放しにしているなど――」
ぱきぱき。そんな音と共にゼインJr.は完全石化。石像と化した。
確かに、四天王は悪さをしまくったさ。
だが、世間は認めちまったんだよ。コイツ等が必要だってな。
もちろん、反対派もいるが、そいつらを黙らせるくらい悪人をぶっ潰せばいいだけさ。
転売ヤーは許せんので、とりあえず城塞都市サンダルフォンに常駐している衛兵に引き渡した。
「こ、この銅像が詐欺勇者の息子……?」
「そうだ、コイツは悪質な転売ヤーだ。牢屋にブチこんでおいでくれ」
「了解しました。あのゼインの息子とあらば、危険人物ですからね」
と、衛兵は納得して複数人で持ち上げていった。……ふぅ、これで会うこともないだろ。
◆
【一週間後】
平和な日々を過ごしていた俺と四天王たち。
人間の生活にもすっかり馴染み、違和感なく過ごせていた頃。事件は突然起きやがった。
拠点にしている普通の家で、悪質極まりない悪徳貴族の婚約者の女性を寝取ろうかと作戦を考えている最中だった。
ドンドンと扉が叩かれ、俺は返事をした。
「どうぞ」
「……失礼します! アンディス様は!」
そこにはサンダルフォンの衛兵がいた。以前、ゼインJr.を運搬してくれた人だ。
「どうした。まさか状態異常が解除されたのか?」
「それは三日前にすでに」
「じゃあ、逃げられたとか?」
「いえ、そうではありません。ゼインJr.は現在も牢屋の中」
となると別件か。
「それで?」
「“東の勇者”が現れたんです!」
「東の勇者ぁ?」
まてまて、それは新たな勇者が出現したってことなのか。そうなのか……!?
「はい。実はこの世界には、東西南北それぞれに勇者がいるのです……!」
「なんだって。知らなかったぞ!」
「ゼインは、かつては“西の勇者”でした」
「ふむ。で、その東の勇者は強いのか?」
「……」
衛兵は、汗をにじませて震えながらうなずいた。……おいおい、表情が深刻すぎるだろう。ということは、ゼインよりもヤバイかもしれないな。
「わかった。サンダルフォンに来ているんだな?」
「その通りです。彼は今、アンディス様を探しているようです」
俺かよ。すっかり人気者になっちまったなぁ……俺。
「ちなみに、その東の勇者に“連れ”はいるか? 女性がいるといいが」
「東の勇者は、聖女と二人のペアパーティのようです」
……!(ピコーン)
なら、楽勝じゃねえか!
またスキル【NTR】の出番だな!!
でも、まずは東の勇者と聖女がどんな人物か拝見してからだな。
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