異世界転生したら不死になりました ~死なないだけが取り柄じゃない! 俺たちが魔王を倒すまでの血と汗と涙の物語~

夢野 奏太

第1話 プロローグ

事故に合ったとき時間がスローモーションみたいにゆっくり流れるってやつ、あれ本当だな。



だって今の俺がそうだもん。



目の前には何トンあるのか知らないけど、とにかくでかいダンプカー。



ハハッ。あの運転手の顔! めちゃめちゃ焦ってるじゃん。



......て、笑ってる場合じゃないか。



これ、確実に俺死ぬわ。 



道に飛び出した不注意なキッズを助けようとした結果がこれ。慣れないことするもんじゃないな。



まあ、キッズが無事そうなのは不幸中の幸いだけど。



それにしても、享年16才か......。なーんか冴えない人生だったな。



てか、高校入学したばっかだぞ。結構受験勉強頑張ったのに。こんなことならもっと好きなことやっときゃよかった。



と言っても、ゲームくらいしか思い浮かばないが。



あーあ、彼女作りたかったなー!



小、中全然モテなかったから、高校から本気出そうとした矢先にこれかよ。ツイてねー!



......ってか、スローモーションなりすぎじゃね? ダンプの位置、さっきとほとんど変わってないじゃん。



あ、でも運転手のおっちゃんには申し訳ないな。こんな俺でも死んじゃったら殺人犯......ってことになるのかな? おっちゃんは悪くないからほどほどの刑にしてくれないかな?



申し訳ないといえば、父ちゃん、母ちゃんゴメン。それと結花にも一応謝っとこう。最近喧嘩ばっかりだったけど、さすがに泣くだろうなぁ。あ、ちなみに結花ってのは、今年14歳になる俺の妹な。これが生意気なヤツでさ......って、俺は一体誰に説明してるんだよ(笑)



えー、あとはそうだなー......てか、さすがにスローすぎるって! ほとんど時間止まってるんじゃね? ってくらい遅いぞ?



......おや、人の騒ぐ声が聞こえてきたようだぞ。それにさっき突き飛ばしたキッズの泣き声も。



「おや」、とか言ってるうちにダンプ超目の前だわ。"言ってる"ってか、思ってるだけな。心の中で。いや、そんなことどうでもいいか。つーか、結構冷静だよな、俺。



そんな事を考えていたら、突然クソデカいクラクションの音が鳴り響いた。それに超不快なブレーキの音も。そして道行く人達の叫び声――



「うへぁっ!」



あ、変な声でちゃった。



――そう思った瞬間、身体中が光に包まれたような気がした。



そして、テレビのスイッチが切れたときみたいに全てが暗転した。

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