僕と君の話

美桜

第1話 

あのね、あのね。

君は僕の後ろをついて回る。

こっちが忙しなくてもお構いなしだ。


聞いて。聞いて。

そういって始まるのは他愛もない、何の変哲もない話。

僕はどうしてもその話を聞いてしまう。


どれだけ書類が溜まろうが、予定が山積みだろうが。

袖を引く君の手を引き剥がせない。

その白く、細い指に引かれるがまま。

いつものソファーに並んで腰かける。



ふむ。

今日は朝から出かけて、遅くなるって聞いたのに。

その間に、溜まっていた仕事を片してしまおうと思っていたのに。

なるほど。

友人に急用が出来て、ランチ時間が短くなったのか。

そのあと、1人でショッピングする気分でもなかったのか。

それで、こんなに早く帰ってこれたらしい。


ああ、作業途中のPCがブラックアウトしていく。

最終保存したのはどの段階だっけ。

ただいま、の言葉を耳にした3秒後には、「お話モード」に入ったからなあ。

まあ、いいか。


今日の、僕の知らない君のお話を聞かせておくれ。



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