カクヨムコンテスト10結果を検証してみた──カクヨムコンテスト11に向けて

雨宮 徹

カクヨムコンテスト10結果を検証してみた

 まず、はじめにこの度カクヨムコンテスト10にて受賞された皆さま、おめでとうございます。



 早速、本題に入ります。2025年5月27日に「カクヨムコンテスト10」の結果が発表されました。以前、カクヨムコンテスト10はどういった結果になるかを予想しており、どの程度当たっていたのかを分析します。

※後半では、コンテスト全体を通して分かったことを記載します。


 結論から書きます。


・エンタメ総合部門の受賞はSFでVRものが受賞と予想→受賞作品なし

・短編のエンタメ総合部門を歴史と予想→ミステリーが受賞



 まず、長編ですが「エンタメ総合部門」の受賞作はなしです。2024年9月16日(カクヨムコンテストの詳細発表は9月26日)に、下記のように予測しました。


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 これは前回と同じジャンル分類であることが前提だが、「ミステリー、歴史ジャンルは苦境を強いられる」だろう。前回は「エンタメ総合」として「SF」「歴史」「ミステリー」で同じ括りだった。SFについては「VRMMO」が大人気だ。エンタメ総合ではこれらの作品が受賞する可能性が高い。母数が多いからだ。



 しかし、例外もある。去年はSFとして設定にインパクトがある『銀河放浪ふたり旅~宇宙監獄に収監されている間に地上が滅亡してました』が受賞している。VRMMOを書けば受賞するかというと、必ずしもそうではない。自分の作風・好きなジャンルで勝負すれば、受賞の可能性は誰にでもあることは間違いない。


引用元記事

https://kakuyomu.jp/works/16818093085000419240/episodes/16818093085010145104


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 カクヨムコンテスト8、9ではSFで「VRもの」「スペースオペラ」が受賞しており、今回もSFが受賞と考えました。しかし、受賞作なしという意外な結果となりました。



 次に、短編の「エンタメ総合部門」ですが、ミステリーが受賞しました。下記のように予想していました。


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 エンタメ総合部門はSF、ミステリー、歴史が対象です。SFは一万文字で世界観を書きつつも話をまとめるのは至難の業です。ミステリーは読者をいい意味で裏切る必要があり、これまた難しい。エンタメ総合部門の受賞作は歴史ジャンルと予想します。


引用元記事

https://kakuyomu.jp/works/16818093089035615731


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 今回は、黒澤カヌレ様の『ババ抜き雪女(ミステリー)』が受賞となりました。こちらの作品ですが、「お題で執筆!! 短編創作フェス」の参加作品です。



 ここまで、予想と結果の比較となります。私の主戦場がミステリーとSFということで、「エンタメ総合部門」のみ詳細な予想をしておりました。




 ここからは、カクヨムコンテスト10の結果から分かったことを列挙します。


・同じ作者の作品で長編部門と短編部門の同時受賞がありうる。

・「エンタメ総合部門」は、大賞のみならず特別賞の受賞作品もない。

・「魔法のiらんど(現代恋愛)部門」は大賞作品はないものの、特別賞受賞作はある。



 まず、長編、短編の同時受賞について。偉業を成し遂げたのは、黒澤カヌレ様です。長編は「ホラー部門」の特別賞。短編は「エンタメ総合部門(ミステリー)」の短編賞。カクヨムコンテスト11も同じか不明ですが、名作を書けば同時受賞もありうるという一つの可能性が示されました。



 次に、「エンタメ総合部門」について。大賞、特別賞ともに受賞作はなしです。「魔法のiらんど(現代恋愛)部門」も大賞作品はありませんが、特別賞受賞作はあります。「エンタメ総合部門」については、このような選評がありました。以下、公式からの引用です。


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 SF・ミステリー・歴史など多様なジャンルを受け入れる部門ということもあり、今回も幅広い作品が寄せられました。


(中略)


 一方で、エンタメ総合部門はジャンルの幅が広いために、作品の方向性や主眼が多岐にわたり、選考においては編集部の求める作品像とのギャップが生じる場面もありました。その結果、残念ながら今回は大賞・特別賞ともに該当作なしという結果となりました。


引用元

https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_contest_10


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 多様なジャンルを受け入れるのが「エンタメ総合部門」のはずですが、「一方で、エンタメ総合部門はジャンルの幅が広いために、作品の方向性や主眼が多岐にわたり、選考においては編集部の求める作品像とのギャップが生じる場面もありました」との文言があります。このギャップを埋めるためにも、次回以降は部門設定の再検討をお願いしたいところです。「SF部門」「ミステリー部門」「歴史部門」と細分化した上で、各部門受賞作なしとするのもありかと思います。あくまで一案です。




 ここからは、読者選考の振り返りとなります。カクヨムコンテスト11も同じかは分かりませんが、一読の価値はあるかと思います。

※あくまでも、私自身の経験に基づいています。


・短編部門について、4作以上の読者選考突破がありうる。

・読者選考を突破するかは、必ずしも星の数で決まるとは限らない(短編)。


 読者選考結果が出た当時、「短編で読者選考を通過するのは最大3作までに違いない」という噂が囁かれていました。私の場合、4作が通過しています。したがって、「1人3作品まで」という基準はないようです。ちなみに、内訳はミステリー3作、SF1作です。



 次に、短編作品の読者選考突破の基準について。こちらですが、単純に星の数で足切りではないようです。私の場合、星17のミステリーが通過し、星45の歴史が突破ならずでした。ありがたいことに、どちらの作品もレビューをいただきましたので、レビューの有無ではなさそうです。情報不足のため、これ以上の分析は不可能です。



 以上、カクヨムコンテスト10の結果を受けた検証でした。必ずしも次回も同じとは言えませんが、参考になれば幸いです。

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