第49話 生まれ変わっても愛しい人 《アンドレside》
リアは香織なんだ。だが、俺は本当のことを言えなかった。香織を自殺に追いやった俺は、彼女に合わせる顔などないのだから。
リアは不慮の事故で亡くなったと言っていた。だが、不慮の事故ではないだろう。警察の見解は自殺であったし、喧嘩をした直後に亡くなったのだから。
優しいリアのことだ。慎司を気遣って、不慮の事故ということにしているのだろう。
(そんな所、前世と全然変わっていないな)
思い出すと泣けてきた。何やっているんだと思いながら、涙を拭う。
俺はずっと香織の存在を引きずって生きてきた。今世の俺は、香織のいない世界に生きているというのに。そして、ようやく香織のことを忘れられると思ったのに……まさか、惚れた女が香織の生まれ変わりだったなんて。
リアは俺が慎司の生まれ変わりだと分かると、露骨に嫌な顔をするかもしれない。リアは違うと言ってくれたが、俺は『冷酷将軍』そのものだから。愛する女性を自殺に追いやった、冷酷な男だ。だからリアが香織の生まれ変わりだと分かっても、言い出すことが出来なかった。
「何言ってんの、慎司らしくない」
香織はきっとそう笑い飛ばしてくれるが……リアは違うかもしれない。なぜならば、リアは前世俺に裏切られ、今世だって男性に裏切られ虐げられて生きてきたからだ。
謝りたい。でも、今さら謝ってもどうにもならない。俺はこうしてずっとリアに罪悪感を感じて生きていくのだ。
こんな俺に出来ることといったら、リアを大切にすることだけだろう。リアを前世みたいな目に遭わせないためにも、俺は全力でリアを愛し、気持ちを伝えなければならない。間違っても、彼女を傷つけるような言葉を軽々しく発してはいけない。二度と同じ過ちを繰り返してはいけない。
「リア……」
弱々しく彼女の名を呼ぶ。
彼女は凍った俺の心を溶かし、再び人を愛することを教えてくれた。リアと過ごす日々は楽しくて、俺がこんなに幸せでいいのかと思った。俺はリアに随分恩をもらったから……次は俺が彼女に恩を伝える番だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます