第17話
「タネが分かればあとはやりやすくなるね」
精霊が発動する魔法は魔力探知で捉えにくいから、できる限り細かな魔力の動きまで見逃さないように…。
「…見つけた」
魔力探知が捉えた精霊の魔法。レベルスの言う通り、確かに概ね円形の形に魔獣の森を覆っている。この範囲内にいる魔獣は全て発動者である精霊の管理下に置かれる…ぽい?
「魔獣は邪魔だから掃討していいよね?」
『ええ』
レベルスからの承認も得られたことだし、まずは増えた魔獣のお片付けだね。
――ソウルリープ
「…ほい、おしまい」
「…相変わらず…すごいね、リリィちゃんの魔法」
「そう?」
「うん…控えめに言っておかしいと思う」
「ひどっ」
「でも、すごいよリリィちゃん」
『…今ので一体、魔獣の森の何割の魔獣が消えたんでしょうね』
「さぁ?」
ともあれ魔獣は大体片付いたので、私たちはこの魔法の中心、発動者がいると思われる場所へ向かう。流石に森の中で飛行魔法を発動して飛んでいくのは危ないので、普通に徒歩で向かうことに。
魔獣は事前に倒しておいたので、道中は魔獣だった死体が結構転がっていた。最悪の場合、こいつらが全部生きているところへ突っ込むことになっていたと考えると、結構面倒くさいものを処理できたんじゃないんかなあと思ってみたり。
というわけで、それなりの距離を歩いて、魔法の中心地点にやって来た。明日は足が筋肉痛になりそう…。
「…で、これは…」
「木…だよね」
そこで私たちを待っていたのは、精霊ではなく、太い幹の樹木だった。
『精霊の宿る樹ですね。本来ならばこの周辺に精霊がいるのですが…』
「うん…いるね。私たちの周囲に」
「囲まれた?」
「みたい」
私たちの周囲を精霊が取り囲む。あんまり穏やかな雰囲気ではない様子。なんか空気が…というより、魔力がぴりついてるような感覚がする。
「…何をしに来た」
精霊のうちの一体。なんだか他よりもちょっと偉い?感じの子がそう疑問を投げかけてくる。
「ここの調査だよ」
「本当は」
「嘘は言ってないし本音なんだけどなぁ」
「まあどうでもいい。すぐにこの場から立ち去れ」
「自分から聞いておいてその反応はないでしょ~」
「…立ち去れ」
魔力のぴりつきが一層強まる。…これ、このままだと全方位から精霊の魔法を叩きこまれる奴だよね~…。まずいなぁ。
「どうする、リリィちゃん?」
「…ま、どうするかはレベルスに決めてもらえばいいんじゃない?私たちよりも精霊に長い時間触れてきたし、判断はできるんじゃないかな」
『…精霊を殺さないように戦闘不能にすることは可能ですか?』
「それは向こう側の強さ次第だけど?」
『…言い方が悪かったですね。殺さずに戦闘不能にしてください』
「合点てん!」
――生成魔法、ブラックサイス
手元にぼんやりとしたオーラを纏う黒い鎌が生み出される。対魔法に特化したこの鎌は、実質魔法のような精霊に対しても結構効く。
ルーナの分は剣の形状に変化させてから、ルーナの手元で生成する。
「そーれっ」
鎌を一振り。手ごたえらしい手ごたえはないけど、精霊たちにはしっかりダメージが入っているようだ。流石に魔法と同じで気持ちよくスパッっと切れたりはしないけど、レベルスの指示通りやるならこっちの方がやり易くていいね。…さて、先手を打っちゃったから反撃を食らっても文句は言えないね~。
「…お前たち…」
リーダーの精霊が怒りで声を震わせている。そして次の瞬間、無詠唱、予備動作一切なしで、魔法が放たれる。
それはいとも簡単に大地を切り裂き、直線状の木々が全て薙ぎ倒されていく魔法だった。どうにか避けられたけど…まったく、当たったらどうするつもりだったのさ?
「…避けるか。魔法使いという肩書は伊達ではないらしいな」
「これ、森林破壊じゃないの?」
「お前たちが避けなければ木々は壊れずに済んだ。つまりお前たちのせいだ」
「えぇ…」
流石に言いがかりが過ぎるでしょ…。
「というか、無詠唱ってずるくない?」
「………」
「おーい、無視?」
どうやらもう聞く耳を持ってはくれないご様子。
「…ヒディルくん、下がってて」
「はい」
「お前、人工精霊か」
「……」
「こちらに来い。そしてこの場の人間を断罪しろ」
…どうやらヒディルくんに精神的な支配を試みてるみたいだね。
「…マスター…申し訳ございません…」
ヒディルくんがその場に跪き、周囲に魔法を発動する。どうやら精霊の支配に屈してしまったみたい。
氷に炎に風に…もうしっちゃかめっちゃかだね。
ルーナにも防御魔法を展開し、ヒディルくんの魔法に当たらないようにした、その次の瞬間、私の展開した防御魔法があっけなく砕かれてしまった。
ヒディルくんの魔法の威力がとんでもない…訳でも無くて、私の防御魔法を破壊したのは精霊。精霊の魔力操作って、こういうこともできるんだね~。
「…ま、なんでもいいや。ルーナ」
黒い剣を手にしたルーナが勢いよく地面を蹴り、精霊の主のもとへ。戦闘不能に、というのがレベルスのお達しだけど、どのみち殺さなければ戦闘を続けられてしまう。
「なっ…!」
驚く精霊の主の胴体を、ルーナの持つ黒い剣が貫いた。
まるで血液を吹き出すかのように、精霊の傷口から魔力が放出されていき、最終的にその場には何も残らなかった。
――――――――
作者's つぶやき:うーん、質が落ちた。
アイデアが切れました。どうも異世界の話というのは書くのが苦手で…。
努力不足なのか才能がないのか…まあどちらもなんでしょう。
書きたいものを書きたい…それがしたい。
…どうにか挽回できますかねぇ…。
――――――――
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