幼馴染が告白されたけど保留っていうから友達からって言えばってアドバイスしてしまいました

猫の集会

寝言

「あー、よく寝たわ〜」

 

 と、勉強しているオレの横のベッドから起き上がってきたのは、オレの幼馴染の柚芽那ゆめなだ。

 

 

「おー、やっと起きたか。ひと休みとかいいながらめっちゃ寝るじゃん」

「え?そうかな?ふふん♡」

「ふふんとか、かわいく笑っても時間は戻らないよ」

「たしかに…。じゃ、もう一回寝た方が…」

「いいわけないよ…早くワークだけでも終わらせなよ?」

「はーい…」

 

 柚芽那は、勉強があんまり得意じゃないらしい。

 

 というか、とにかく寝るのが大好き女子だ。

 

 

 もうすぐ高校受験だというのに…とにかく寝るのだ。

 

 …大丈夫かよ?って心配になるくらい寝ている。

 

 しかも、夜眠れないんだもんとか言ってるけど…それって昼寝のせいなんじゃね?って思っているのは、オレだけなのだろうか⁇

 

 まぁ、寝かせておいた方が静かだし…その…寝顔がめっちゃ癒しになるからオレはいいんだけどね。

 

 寝言もまた、かわいいし。

 

 いつも、食い物の夢を見てるっぽくて

 塩…かけてよとか、それ剥いてから食べた方が絶対美味しいとか言ってる。

 

 この前なんて、携帯って醤油の方が合わない?とか変な寝言いってたっけ…。

 

 

 

「仕方ない。ワークだけでも終わらせよーっと」

 と、やっとやる気を出した柚芽那かと思えば…

 

 

 …

 

 は?

 

 んっ⁉︎

 

「ちょっ…な、なにしてんだよ⁉︎」

 

 柚芽那がいきなり、オレのあしにゴロンと転がってきた。

 

 

「そこに枕があったから」

「いや、枕ではない!あしな。てかオレ昨日あし洗ってないわ」

「ぎゃっ、きったな」

「うそだよ」

「…あー、騙されたよ」

 

 柚芽那は、やっと起き上がり勉強を始めたかと思ったらまたいきなり…

 

「楽しかった運動会。つかめなかった綱引きのヒモ」

 とか言い出した。

 

 …

 

「黙って勉強しようよ?」

「えー…」

 

 とにかく起きているときの柚芽那は、無駄話が多いのだった。

 

 

 でも、しばらく黙って集中…したかと思えばまた…

 

「ねぇ、いつもみたいにキスして?」

 とか言い出す。

 

「いつもそんなことしてないでしょ」

「たしかに」

 と、また無駄な会話をする。

 

 

「でも、やっぱりキス…してみる?」

 と、オレが聞くと柚芽那は真顔で

「しない。勉強中」

 と、キッパリお断り。

 

 いきなり勉強に集中する真面目モード突入。

 

 …

 

 柚芽那は…そのセリフが、ただ言いたかっただけなのです。

 

 

 しかし、純粋なオレはガチでキスがしたい派なんです。

 

 だって、オレ柚芽那のこと…好きだから。

 

 

 さっきだって、いきなり膝枕とかしてきてさ…

 

 勝手に暴走して、いきなりスンッてさ…

 

 なんなんよ⁇

 

 

「あー、疲れたー」

 オレは、勉強よりも振り回されて心が疲れたので、ベッドにゴロンと転がった。

 

「そんなんじゃ良い点数とれないよー」

 

 …

 

 さっきまで寝ていたやつに言われたくない。

 

「オレは、柚芽那がぐっすり寝てる間にやってたからいいのー。てか、柚芽那…もう一回寝る?ほら、こっちこいよ。膝枕じゃなくて今度は、腕枕してやるよ」

 

 チラッとコチラを見た柚芽那は、

「気がちる…黙って寝とけ」

 と、いきなり気まぐれニャンコのようにツンデレになる。

 

 甘えたり…嫌がったり…

 

 忙しいやつめ…

 

 

 あーあー…柚芽那が猫だったらなー

 

 そしたら、今ごろオフトゥンでニャンニャンできたのになぁ…。

 

 柚芽那がネコだったら、たぶんハチワレかな?

 

 ヤベ…

 

 ハチワレ柚芽那、略してハチユメ

 

 …

 

 ヤベぇじゃん

 

 かわいすぎ‼︎

 

 …

 

「ねぇユウト、今…変態なこと考えてたでしょ?」

 

 ⁉︎

 

 見破られていた…

 

「え、別にー」

 

 …

 

 勉強に集中する柚芽那をみていたら、なんかめっちゃ眠くなってきたかも。

 

 ってことでウトウトしてたら、ついうっかりオレは…

 

「柚芽那…好き」

 と、ほざいていた。

 

「え?」

「…ん?」

 

 柚芽那が今、え?って言ったね…。

 

 完全に聞かれてたやつー‼︎

 

「あー…今のは…冗談的なね?ね?ほら、いつもの冗談だからね?」

 と、慌てて訂正。

 

 すると柚芽那も、

「うん、知ってる」

 と返してきたのでホッとした。

 

 

 かと思えば

「わたしも好き」

 と言いかえしてきましたけど⁉︎

 

 

「えっ⁉︎」

 柚芽那…今…

 

「ん?どうしたの?」

「いや、今…好きって…」

「あー、お返し。」

「え…それはどういう…」

「ん?冗談のお返し」

「あー」

 

 

 一気に目が覚めた。

 

 

 冗談ね…

 

 

 正直、柚芽那がオレをどう思っているのかは、わからない。

 

 

 でも、確実にオレは柚芽那が好きだ。

 

 

 しかしだ‼︎

 

 しかし、オレは絶対に告白しないと決めている。

 

 

 だって…告白なんかしてフラれたら、幼馴染は…たぶん解散だし…なんなら友達にすらならないレベルにまで陥る可能性が高いからだ。

 

 オレの予想だと、柚芽那はオレのこと好きじゃない。

 

 まぁ、幼馴染の範囲内で好きってくらいだろう。

 

 

 だって、本気で好きだったら…いきなり膝枕なんてしてこないし、冗談でもキスしようなんて、言えるわけがないんだ…。

 

 

 だから、今はこのまま…

 

 このままの関係であり続けていたい。

 

 

 続く。

 

 

 

 

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