02. フィールドワークのために
ぼくの隣で洗濯物を
ぼくは恥ずかしくなってしまい、「顔を洗ってきますねっ」と断りをいれて、
開け放たれた玄関を閉ざす、龍の
ぼくはしゃがみこんで、ひなの背中を
ここが親戚の
いま住んでいるところから遠方にあるこの地域で、フィールドワークを行う期間、どこか格安で泊まることができる場所はないかと探していたところ、親戚の友人という、まったくの他人の間柄ながら、広崎家の方々が快く迎え入れてくださることになった。
もちろんそれは、ぼくの本性のおかげでもあるのだけれど。
ひなの隣に体育座りをして、明日の予定について考えていく。さきほどの夢の記憶を、振り払わなければならないという思いがあった。そうしないと、いまの彼女に対して、申し訳ない気持ちになってしまうから。
明日は朝九時から村長さんにインタビューをさせてもらい、午後からは町の中心部にある郷土資料館で、未公開の史料を
郷土資料館に向かう途中に、先祖を
民俗学を学ぶ大学院生になり、この町から少し離れた山奥にある村の、先祖の
いま思えば、民俗学を学ぶきっかけになったあの経験をしたのは、いまのような夏真っ盛りのことだった。そしてぼくが、自分でも気付いていなかった本性を自覚したのも、そのときのことだった。
仏間のとなりにある、ぼくが寝泊りをしている客間に入って、手枕をしながら、あの夢のことを忘れようと、
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