それでも、1は歩いてゆく

1は10にはなれないし、

10が100になることもない。

未来に夢を見て、

結局、今の方が良かったと思うこともある。

それでも、私の記憶にある

爛々と輝いたあの記録だけは、

私の心に、確かに残り続けている。

1は10にはなれない。

でも――

2になれるかもしれない。

10が100になることはないかもしれない。

それでも、1よりは、マシだ。

未来の私が10と言うなら、

私は0と言う。

過去の私が10と言うなら、

私は9と言う。

変わる価値観の中で、

変わらないものは、

私の記録。

1が5になることはないし、

0が1になることもない。

1は2を夢見る。

でも、1は1だし、

2はまた、3を夢見ている。

等身大の夢は、

案外、夢なんかじゃない。

それでも、信じられるのなら――

夢を追い続けられるのなら――

あなたはきっと、2にも、3にもなれる。

あなたの身が朽ち果てるその時まで、

どうか、夢を忘れないで。

あなた自身が、

記憶になり、記録になる。

あなたが生きた証を、

私にも、見せてほしい。

それはきっと、

1が10になるような、

そんな輝きを、

宿していると思うから。