第12話 カーテンの向こう側
手術は普通に終わった。
痛みもあったけど、乗り越えられた。
「大丈夫だったよ」って、満桜に早く伝えたかった。
だけど満桜とここ3週間連絡が取れてない。
しかもカーテンも開いてない。
もしかして、、、とか思ったり
看護師さんなら何か知ってるはずなのに、怖くて聞けなかった。もし死んでしまってたらなにか私に言うはず。
病室を知ってるのに行けない。足がすごく重くて、現実と向き合ってる気がした。
それに満桜と連絡が途絶えた日から涙が止まらない。
いつも脳裏に浮かぶのは満桜の笑顔、満桜の声
もっと早く好きだって気づけてたら、こんなに辛くなかったのかな。
今日の病室の窓から河川敷を覗く
いつもの景色だけど、全然違うくて
いつも寝そべってる満桜はいない。
それだけでこんなに綺麗な場所でも灰色に見えてしまう。
スマホを手に取って一日何回かLINEを送る
だけど既読はつかない。
だけど何度も新しいメッセージを送る
そんなわけないと思って。
気を紛らわせるしか無かった
「ねえ、どこにいるの?
元気? ……生きてる?LINE返してよ」
どうか返事が来ますようにって、願いながら、
送信ボタンを押した。
お昼になって先生が病室に入ってきた
「おはよう柳田さん」
「おはようございます」
「明後日退院ですおめでとう」
た、退院?まだ満桜会えてないのに?
「嫌です」
先生が困った顔で私を見た。
わがままでごめんなさい。だけどここにいないと満桜には会えない。家からここは1時間くらいしないと着かない
「満桜くんの事だよね。」
「何か知ってるんですか?」
「生きてはいるみたいだね」
私は安堵して泣きそうになった
だけどなんで生きてるならLINEの返事も何もしてくれないの?
私のこと嫌いになったのかな?
「じゃあなんでっ」
「僕も分からない詳しく教えてくれなかったんだ向こうの先生が」
「そうですかっ」
「退院してくれる?嫌って言ってもしないとなんだけどさ」
「はいっ」
先生の前で泣きそうになった
でも迷惑なんてかけれないから泣けなかった
ただ満桜が生きてくれててよかった
だけどもう何も望まない。
拒絶されてるんだ、きっと
また嫌な日々が明後日から始まろうとしてる
これからどうしていけばいいのか分からない
満桜にまだ私の気持ちも言えてないのに
こんなに好きなのに、、、
こんな感情が残ったままここを離れてはいけない気がした
気づいたら病院を出て河川敷に走り出していた
すごく暑い。だけどそんなことよりじっとしていられなかった
満桜には会えないって分かってるのに、満桜を探している自分がいる。
もしかしたら突然現れて馬鹿なこと言ってくるんじゃないかとか、
そんなこと思ってたけど結局満桜は現れなかった。
逆に満桜との日々を思い出して泣いてしまった
こんな時は満桜が頭を撫でてくれるのに、
満桜は私のヒーローなのにっ
「なにしてんだろ、、私」
満桜の病室はカーテンが締め切られて、塞ぎ込んだように暗く感じた。
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