創世戦隊マナレンジャー ~スーツアクター、異世界を救う~

雪玉 円記

第1話 護、異世界に飛ぶ!

scene.1

「我ら、剣神戦隊! アークセイバーズ!!」

 よし、決まった! この後は背後のナパームが、ん?

「え?」

 急に真っ暗になったんだが、おかしいな。今、野外爆破ロケしてるんだが?

 慌てて足下や周りを見る。

「は!?」

 じ、地面がない!!

 あの爆破ロケの聖地たる曳海山はどこにいったんだ!?

 いや、そうじゃなくて!

「俺、落ちてるんだが!!」

 足下を認識した途端に襲ってきた猛スピードの落下感。バンジーやジェットコースター、高所跳躍訓練なんか目じゃないくらいだ。

 その感覚にドッと冷や汗が出る。

「どうなってんだよぉっ!?」

 思わず叫ぶ俺。そして気付く。いつの間にか落下感がなくなっていたことに。

 急に重力が戻ってきたような感覚になって、思わず俺は片膝をついて座り込んでしまう。

 詰めていた息を吐く。その瞬間「おお……!」という幾つものどよめきが聞こえてきた。

 顔を上げる。俺の周囲にいるたくさんの人、人、人。

 ローブを着ていたり、西洋の貴族っぽい人だったり。

 その人間たちの隙間から見える背景は、どう見ても石造りの重厚な雰囲気の壁だ。

 ふわ、と足下が暗くなる。思わず見ると、なんだか俺には理解不能な魔法陣みたいなのがあった。

「……っ!」

 ぞわ、と背中を寒いモノが通る。

 理屈とかじゃない。本能で、コレはヤバいものじゃないのかと思ったんだ。

「……異世界人召喚の儀は、成功しました」

「うむ。ご苦労」

 顔も見えないぐらいに深くフードを被った人がそう言った後、王冠にマント姿の男性が俺の一歩前に出てきた。

 ……ん? 王冠?

「よくいらしてくださった、異世界よりの勇者よ。最上の礼を持って歓迎いたそう」

 俺に向かって手を差し伸べてくる、考えを全く悟らせないような目をしている男性。

 出かかった「は?」という言葉を全力で飲み込んだ俺を、誰か褒めてくれ……。

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