そうして、私は壊れる
織田美香
第1話 出来損ない
いつにも通り地元の中学に行き、いつも通り部活に行って、いつも通り帰って寝る。
そんな変わらない日々が続いて欲しいとよく小説やアニメでは訴えてくる。
なぜだ。つまらないだろ。私は常に刺激が欲しい。常に早く時代が変化していってほしい。この世界はつまらない。
なんて思えるようなそんな人間になりたかった。
私は心の中で理想を組み立てながら、それを実現させための努力をしたくない。
ある時には、みんなを救えるスーパーヒーローに憧れ、スポーツ漫画のようなまっすぐな主人公に憧れた。歌手や女優になりたいと胸を躍らせ、ありもしない漫画の世界に想いを馳せた。
分かってはいた。私は極々普通の人間だと。
だけど、普通の人間で終わりたくない。
こんなふうに思うのも「フツウ」なのだろうか。
普通とは何なのか。誰も教えてくれない。チャットgptも私が欲しい答えをくれない。
ワタシハフツウダヨネ?
普通でありたくないと普通でいたいという矛盾が私をおかしくしている。
痩せたい。でも、走りたくない。お菓子は食べたい。
日本1の大学に入りたい。でも、勉強したくない。数学なんて大嫌いだ。
藝大に入りたい。でも、絵をずっと描いていたいわけではない。
自衛隊になりたい。でも、命をかけたくない。
ミュージシャンになりたい。 でも、でもでもでも。
私は私が嫌いだ。中途半端で覚悟もないやつが夢見る資格などないのに、無様に将来の計画なんて立ててやがる。
成績は下の下。友達が多いわけでもない。スポーツが特別できるとか、歌や絵がとびきりうまいわけでもない。
どうすればいいのか。私の存在意義とは何なのか。
普通でいられない私は何でいたらいいのだろう。
母にも愛してもらえない。
私は
出来損ない
だ。
そうして、私は壊れる 織田美香 @mikannohappa
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