🌟第4話「気持ちつながる1日」🌟
ある朝、悠斗の学校に特別な発表があった。
「本日、全校生徒に“感情同期アプリ”のテスト使用をお願いしたい」と、校内放送が響く。
感情同期アプリとは、自分の気持ちをスマホの画面上に表示できるもので、相手に今の気分がすぐに伝わる仕組みだという。
「へえ、おもしろそう!」悠斗は目を輝かせた。
「でも、恥ずかしくない?気持ちがバレちゃうなんて」と美咲はちょっと心配そう。
「まあまあ、試してみようよ!」光が元気よく提案した。
休み時間、みんながアプリを開くと、画面には「今の気持ちは?」といくつかの選択肢が出てきた。
「楽しい」「うれしい」「ちょっと不安」「さみしい」「イライラしてる」――。
悠斗は「楽しい」を選んだ。すると、スマホの上にニコニコマークが表示され、周りの友達のスマホにも同じマークが映し出された。
「わっ、みんな楽しいって出てる!」
「すごいね、気持ちが見えるなんて!」
教室は笑い声であふれた。
けれど、ふと見ると、美咲のスマホには「ちょっと不安」のマークがついていた。
「美咲、大丈夫?」悠斗がそっと声をかけると、美咲は小さな声で言った。
「実は、さっき友達と言い合いしちゃって……でも、どう謝ったらいいか分からなくて」
「そっか。でも、気持ちが伝わるなら、素直に『ごめんね』って言えるかもしれないよ」
勇気を出した美咲は、相手の友達に「不安」のマークを見せながら、そっと「ごめんね」と声をかけた。すると相手も「うれしい」マークを出して「気にしてないよ」と笑ってくれた。
「よかったね!」悠斗と光が笑顔で拍手した。
午後になると、クラスのいろんなところで感情のやりとりが始まった。
恥ずかしがりやの男子が「楽しい」マークを出して好きな子に声をかけたり、泣いていた子が「悲しい」マークを出したことで、周りの友達が「大丈夫?」と集まったり。
気持ちを隠さなくていいから、みんな素直になれて、教室がいつもよりあたたかい空気で包まれていた。
「ねえ、このアプリ、なんだか魔法みたいだね」美咲がぽつりと言った。
「うん、でもたぶん、一番の魔法は、気持ちをちゃんと伝えようとする勇気だと思うな」悠斗はにっこり笑った。
放課後、感情同期アプリの使用時間が終わり、みんなのスマホからマークが消えた。
それでも、悠斗たちの教室には、スマホなんかなくても伝わる「笑顔」と「ありがとう」があふれていた。
「これからも、気持ちはちゃんと伝えようね!」
そう言い合って、悠斗、美咲、光たちは手を振りながら帰路についた。
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