28. Epilogue: 世界は君のニュークエスト
卒業式から数日後、季節は確かに春へと移り変わっていた。
街路樹には淡い桜がほころび、暖かな陽射しと、どこか懐かしい風の匂いが漂っていた。
ユウは、新生活の始まる街の小さなカフェで窓際の席に座り、ゆっくりとコーヒーを啜った。
窓の向こうには、行き交う人々の笑顔と、希望に満ちた風景が広がっていた。
HUD-LINKを起動すると、画面には「Sky Linkers」のパーティデータが淡い光で浮かび上がった。
仲間たちと過ごした日々、夜の屋上で語った夢、商店街での宝探し、文化祭の奮闘、卒業式での涙と拍手――
それらすべてが、記録という形で保存されていた。
「……終わりじゃない。むしろ、これからが本当の始まりだ」
ユウは、そっと画面を閉じた。
その瞬間、HUD-LINKに柔らかな光と共に新たな通知が現れた。
【NEW QUEST:君の未来を切り拓け】
【内容:新たな街、新たな仲間、新たな夢を探せ】
【報酬:未知ポイント+∞ 冒険EXPアップ】
【ボーナス:記憶の継承】
「そうだね……ここから、僕のニュークエストが始まる」
ユウはカフェを後にし、見知らぬ街の通りを歩き始めた。
まだ知らない店、初めて見る景色、耳慣れないざわめき。それらすべてが、心をわくわくと震わせた。
遠く離れた場所でも、それぞれの仲間たちもまた、新たなステージを歩んでいた。
リナは国際空港でスーツケースを引き、新天地へと旅立っていた。
レンはスタジアムで新しい仲間たちと汗を流し、試合に向けて気合いを入れていた。
ハルカは白衣姿で研究施設の奥深くに立ち、タブレットを睨みつけていた。
ユウトは静かなアトリエで、新しいスケッチを何度も描き直し、夢への線を確かめていた。
ユウのスマートフォンが震え、画面に「Sky Linkers」のグループチャットが光った。
【リナ:みんな元気?】
【レン:もちろん!】
【ハルカ:進捗報告しよ!】
【ユウト:新作スケッチ送る】
ユウは、少し迷いながらも打ち込んだ。
【ユウ:僕も……新しい冒険、始めるね】
メッセージを送り、スマホを胸ポケットにしまった。
「どんなに離れていても、僕たちは“Sky Linkers”」
心の中でそうつぶやくと、HUD-LINKが自動で起動し、画面に大きな「世界地図」が浮かび上がった。
青い大地に、無数のルートが光の線となって伸び、まだ見ぬ街や国、未知の場所へと続いていた。
「選択肢は無限大だ。どこへだって行ける。新しい仲間、新しい夢、全部探しに行こう」
胸の奥で、確かに未来への扉が開く音がした。
春風が頬を撫で、淡い桜の花びらが舞い上がる。
ユウは深呼吸をし、ゆっくりと一歩を踏み出した。
見知らぬ街並みが、まるで新たなRPGのフィールドのように広がっていく。
【Epilogue:世界は君のニュークエスト】
【MISSION:未知の扉を開け】
【報酬:冒険は無限】
「この世界は、僕たちのニュークエストだ」
心の中で、そうつぶやき、ユウは仲間たちとの思い出を胸に、新たな道を歩み始めた。
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