卒業式を翌日に控えた夜、教室の窓から見える空は深い群青に沈み、星がぽつりぽつりと瞬いていた。

ユウは、一人静かに席に座り、HUD-LINKを開いた。画面には、これまでの冒険の記録――仲間との写真、ログ、ステータス――がずらりと並び、最後に「パーティ活動：終了予定」の文字が淡く浮かんでいた。

「……終わり、なんだな」

小さくつぶやくと、教室の扉が開き、リナが顔を出した。

「ユウ、まだ帰ってなかったんだ」

「うん……なんとなく、最後にここで一人になりたくて」

リナは静かに教室に入り、ユウの隣に座った。

「わかるよ。私も、なんかこの教室が恋しくて……」

少しして、レン、ハルカ、ユウトもやってきた。皆それぞれ、少し照れくさそうに、でも自然に教室の中に集まった。

「なあ、俺たちのパーティ名……覚えてる？」

レンが唐突に問いかけると、皆が一瞬黙り、そして笑った。

「もちろん。『Sky Linkers』でしょ」リナが答え、ハルカが「空を繋ぐ冒険者たち……」と微笑む。

ユウトも「最初は冗談で決めたけど、今はその名前が、すごく大事なものに思える」とつぶやいた。

「俺たち、進路はバラバラだけど、心は繋がってる」

レンの言葉に、ユウの胸がじんわりと温かくなった。

「よし、最後に……もう一度、叫ぼうぜ」

レンが立ち上がり、手を高く掲げた。

「この教室で、俺たちのパーティ名を！」

ユウたちは顔を見合わせ、頷き合った。

「いくよ……せーのっ！」

「Sky Linkers！！」

教室に響き渡る声は、壁に反響し、窓ガラスを震わせ、夜空にまで届くようだった。

その瞬間、HUD-LINKが光を放ち、画面に「絆リンク最終アップデート」の文字が浮かんだ。

【MISSION COMPLETE！】

【報酬：絆リンクLvMAX　友情ステータス最終解放】

【ボーナス：思い出アルバム最終ページ解放】

「これからは、それぞれの道を歩むけど……」

ユウの声に、皆が耳を傾けた。

「またいつか、この“Sky Linkers”で集まろう。その時まで、各自の冒険を続けるんだ」

窓の外には、夜空に星が輝き、遠くに明日の朝を告げるかすかな光が見えていた。

「さあ、明日が新しい旅立ちだ」

リナが笑い、ハルカが「うん」と頷き、ユウトが「負けない」と小さく呟いた。

レンが「泣いても知らねーぞ」と冗談を言い、ユウは「じゃあ、俺が先に泣く」と笑った。

教室の窓から見える空には、どこまでも続く道の先に、彼らの「次の冒険」が待っている気がした。