9. クラフト文化祭!アイディアバトル
秋風が、少し冷たくなり始めた放課後の教室。
窓の外では夕焼けに染まる空が、文化祭準備に沸く校舎を優しく包み込んでいた。
廊下を行き交う声、カラフルな装飾の準備、木槌の音と笑い声が混じり合い、校内全体が一つの“冒険の舞台”のように感じられた。
和泉ユウたちは、文化祭実行委員からの依頼で「模擬店デザイン班」に組み込まれた。
HUD-LINKには、今日のクエストが光を放ちながら浮かび上がる。
【QuestMaster:文化祭準備特別ミッション】
【内容:模擬店のデザインプランを完成させ、クラス全体を盛り上げよ】
【報酬:クリエイティビティポイント+20 チームワークEXP+15】
教室の中央には、模造紙やカラーペン、段ボールや工作道具が並べられていた。
まるで大きな“クラフトステージ”のような光景だ。
ユウトは机に広げられたスケッチブックに静かに線を引き、ハルカはタブレットでコスト計算と必要物資をリストアップしていた。
レンは教室中を動き回り、みんなの意見を集めては「よし、これで決まりだ!」と笑顔でまとめ上げる。
「これ、まるでリアルタイム戦略ゲームみたいだね」
ユウが小さくつぶやくと、ハルカが頷く。
「限られた資材、時間、そして人手…効率よく動かないと全滅するよ」
彼女の言葉に、ユウトは静かに笑い、「でも、こういうときこそ、誰かのひらめきが突破口になる」と呟いた。
そんな中、レンが「よし、アイディアバトルといこう!」と宣言した。
「ここは勝負どころだ。みんな、どんなアイディアでもいいから、出してみよう!」
教室に活気が戻り、ユウたちの視界にはHUD-LINKの“アイディアバトルモード”が立ち上がった。
画面には、アイディアのキーワードがカードのように並び、それぞれがポイント化される仕組みだ。
「お化け屋敷でドローン演出!」リナが声をあげ、カードを出す。
「落ち着いたカフェ風で、手作りスイーツ!」ユウが慎重に提案する。
「脱出ゲーム型の体験型店舗!」ハルカのカードが浮かび上がる。
「やっぱりスポーツ大会で屋台もあるのが熱い!」レンが最後に大声で放つ。
アイディアカードは、空中に投げられたトランプのように舞い、HUD-LINKが自動で評価を始める。
仲間たちは次々に提案を重ね、互いのアイディアを混ぜ合わせて、新しい案を生み出していった。
ユウトは黙り込みながらも、スケッチにさりげなく組み合わせた新デザインを描き込み、リナがそれを見つけて「これ、すごいよ!」と声を上げた。
議論は白熱し、教室には賑やかな声と、ペンを走らせる音が響き続けた。
やがてHUD-LINKがピンと高い音を響かせ、勝者を告げる。
【アイディアバトル結果発表:総合得点トップ!】
【採用プラン:スイーツカフェ+脱出ゲーム体験型店舗】
【報酬:クリエイティビティポイント+20 チームワークEXP+15】
「やったな、みんな!」レンが拳を突き上げ、ユウも思わず笑顔をこぼした。
ハルカはタブレットに最終プランを書き込み、ユウトは完成したデザイン画を見つめながら静かに微笑む。
教室の窓からは、夕陽に照らされた校庭と、文化祭の準備に奔走する仲間たちの姿が見えた。
その景色が、ただの準備ではなく、自分たちの“冒険の一場面”であることをユウは実感した。
「これなら、文化祭当日は絶対に楽しくなるね」
リナの声に、みんなが頷いた。
そして、HUD-LINKの画面には次のクエストの予告が浮かんでいた。
【次のミッション:文化祭前夜のサプライズ準備】
新たな挑戦の気配に胸を高鳴らせながら、ユウたちは笑い合った。
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